学生の飲酒節制、ネット介入の効果なし/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/10

 

 大学生を対象としたインターネットによるアルコール使用障害の特定と介入プログラムは、飲酒頻度や総飲酒量、学業問題や気晴らし飲酒、深酒について、改善効果を認めなかったことが明らかにされた。一方で、典型的な行事における飲酒量については、介入プログラムにより有意に減少したという。オーストラリア・ニューカッスル大学のKypros Kypri氏らが、約1万5,000人の大学生を対象に行った試験で明らかにした。先行研究では、健常者の飲酒、とくに若い人の飲酒は、グローバルな疾患負荷に結びつくこと、またシステマティックレビューではインターネットによるスクリーニングと介入は有効であることが示唆されていた。JAMA誌2014年3月26日号掲載の報告より。

AUDIT-Cスコア4以上の被験者を無作為化
 試験はニュージーランド7校の大学生、合わせて1万4,991人を対象に行われた二重盲検並行群間比較の無作為化試験だった。研究グループは2010年4~5月にかけて、アルコール使用障害特定の3項目からなる「簡易版AUDIT-C」へのリンクアドレスを含む電子メールを送信した。被験者の年齢は17~24歳だった。

 回答の得られた5,135人のうち、AUDIT-Cスコアが4以上だった3,422人を無作為に2群に分け、一方の群にはAUDITテストの追加質問やLeeds依存に関する質問票(LDQ)調査を行い、その結果についての評価と、リスクを減らす方法、血中アルコール濃度のピーク値、アルコール依存症などについてフィードバックする介入を行った。もう一方は対照群として、スクリーニング試験のみを実施した。

典型的行事における飲酒量のみ介入群で有意に中央値1杯減少
 5ヵ月後、典型的な行事における飲酒量や飲酒頻度など、6項目について両群を比較した。その結果、有意な差(p値の閾値0.0083)がみられたのは、典型的な行事における飲酒量についてで、対照群は中央値が5杯(四分位範囲:2~8)だったのに対し、介入群では4杯(同:2~8)と有意な減少がみられた(リスク比:0.93、99.17%信頼区間[CI]:0.86~1.00、p=0.005)。

 一方で、飲酒頻度(p=0.08)や総飲酒量(p=0.33)については、両群で有意差はみられなかった。また、学業問題スコアの改善(p=0.14)、気晴らし飲酒(p=0.04)や深酒(p=0.03)のリスク改善についても、介入による有意な効果は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)