軽~中等度アルツハイマー病にもビタミンEが有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2014/01/16

 

 軽度~中等度のアルツハイマー病(AD)に対するビタミンE(α-トコフェロール)の投与は、身体機能の低下を遅延する効果があることが示された。米国・ミネアポリスVAヘルスケアシステムのMaurice W. Dysken氏らが、AD患者600例超を対象に行った、二重盲検プラセボ対照並行群間無作為化臨床試験「TEAM-AD VA共同無作為化試験」の結果、報告したもので、JAMA誌2014年1月1日号で発表した。なお、ビタミンE+メマンチン投与およびメマンチン単独投与ではプラセボ群と比べて有意差はみられなかったという。これまでの研究で、中等度~重度ADに対するビタミンEの効果は示されていたが、軽度~中等度ADについては、その効果に関するエビデンスは限定的だった。

被験者を4群に分け、平均2.27年追跡
 研究グループは、2007年8月~2012年9月にかけて、軽度~中等度ADの患者613例を対象に試験を行った。被験者を、(1)α-トコフェロールを2,000 IU/日、(2)メマンチンを20mg/日、(3)(1)と(2)を併用、(4)プラセボをそれぞれ投与する4群に無作為化した。

 主要アウトカムは、Alzheimer's Disease Cooperative Study/Activities of Daily Living (ADCS-ADL) 評価尺度(0~78点)のベースライン時からの変化だった。副次アウトカムには、認知力、神経精神医学的評価、機能評価、介護者評価などを含んだ。

 追跡期間の平均値は2.27年(標準偏差:1.22)で、追跡を完了したのは、ビタミンE群140例、メマンチン群142例、ビタミンE+メマンチン群139例、プラセボ群140例だった。

ビタミンE群、プラセボ群より年間19%の臨床的な進行遅延
 追跡期間中のADCS-ADLスコアは、プラセボ群と比べてビタミンE群では、3.15低下(95%信頼区間[CI]:0.92~5.39、補正後p=0.03)したが、メマンチン群では、1.98低下(同:-0.24~4.20、p=0.40)にとどまった。

 ビタミンE群のADCS-ADLスコアのベースライン時からの最小二乗平均差は-13.81であり、プラセボ群の-16.96に比べ有意に小さかった。この違いは、ビタミンE群ではプラセボ群に比べ、年間19%の臨床的進行の遅延、追跡期間では平均6.2ヵ月の遅延に相当した。

 メマンチン群とビタミンE+メマンチン群では、ADCS-ADLスコアの減少幅に有意差はなかった。

 介護者が費やした時間も、ビタミンE群が最も増加しなかった。

 一方、全死亡率と安全性の解析では、感染症または寄生虫感染の重症有害事象発生についてのみ、メマンチン群(23例・31イベント)、ビタミンE+メマンチン群(31例・44イベント)が、プラセボ群(11例・13イベント)に比べ有意に高率であることが示された。

 著者は、「軽度~中等度ADへのビタミンE投与は、機能低下を緩やかにし、介護者の負担を軽減するという点でベネフィットが認められることが示された」と結論している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)