外側楔状足底板使用でも変形性膝関節症の痛みは軽減しない/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/05

 

 変形性膝関節症の人において外側楔状足底板を使用しても痛みの軽減効果はないことが、英国・マンチェスター大学のMatthew J. Parkes氏らによるメタ解析の結果、報告された。外側楔状足底板の効果については議論が分かれ、コンセンサスは得られていなかった。JAMA誌2013年8月21日号掲載の報告より。

外側楔状足底板の効果を検討した無作為化比較試験をメタ解析

 研究グループは、2013年5月までにCochrane Central Register of Controlled TrialsやMedlineなどのデータベースに登録された試験のうち、外側楔状足底板の使用による膝関節過重への効果について検討された無作為比較試験を抽出し、メタ解析を行った。データ抽出は2名の独立した研究者が行った。また、バイアスリスクの評価を2名のオブザーバーがCochraneバイアスリスクツールを用いて行った。

 主要評価項目は、患者の自己申告による痛みの変化だった。

外側楔のない足底板との比較において痛みの軽減効果に有意差みられず

 適格条件を満たした12試験(被験者総数885例)が解析に組み込まれた。被験者のうち、外側楔状足底板による治療を受けていたのは502例だった。

 外側楔状足底板治療群と対照群について、痛みの変化に関する統合標準化平均差(SMD)を調べたところ、全体では外側楔状足底板治療群に痛みを軽減する効果が認められた(SMD:-0.47、95%信頼区間[CI]:-0.80~-0.14)。その効果の大きさは、20ポイント評価のWOMAC疼痛スコアで-2.12ポイントに相当した。しかし、軽減効果について試験間の結果のばらつきが大きかった(I2=82.7%)。またバイアスリスクが低い大規模試験では、無効であることが示唆された。

 メタ回帰分析の結果、楔のない足底板治療を対照群とした場合(4試験、SMD:-1.20、95%CI:-2.09~-0.30)に効果サイズが高いことが示された(非治療を対照群に用いた場合の非標準化β:1.07、95%CI:0.28~1.87)。一方、バイアスリスクの要求リスクが低い試験方法の場合は効果サイズが低いことが明らかになった(各バイアスカテゴリーの要求リスクが低い場合の非標準化β:0.26、95%CI:0.002~0.52)。

 外側楔状足底板治療群と楔のない足底板との比較試験では、外側楔状足底板が痛みを軽減するとの関連は示されなかった(SMD:-0.03、95%CI:-0.18~0.12/WOMAC:-0.12)。またこの結果については、試験間のばらつきも少なかった。

 これらの結果を受けて著者は、「変形性膝関節症の痛みの軽減を目的とした外側楔状足底板の使用は支持されない」と結論づけた。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)