多枝冠動脈疾患の糖尿病患者、DES-PCIよりCABGが長期アウトカム良好/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/09

 

 糖尿病で多枝冠動脈疾患の認められる患者には、冠動脈バイパス術(CABG)が、積極的薬物治療併用の薬剤溶出性ステント(DES)による経皮的冠動脈インターベンション(PCI)よりも、長期アウトカムが良好であることが明らかになった。一方で脳卒中発生率は、CABG群でDES-PCI群のおよそ2倍に上った。これまでに、糖尿病患者に対するCABGがPCIより良好であるとする試験結果はあったが、DES-PCIと積極的薬物治療の併用を比較したものは今回が初めてという。米国・Mount Sinai School of MedicineのMichael E. Farkouh氏らが、140ヵ所の医療機関を通じて行った無作為化比較試験「FREEDOM試験」の結果、報告した。NEJM誌2012年12月20日号(オンライン版2012年11月4日号)掲載より。

被験者1,900人を無作為化、中央値4年弱追跡
 FREEDOM試験では2005~2010年にかけて、糖尿病で多枝冠動脈疾患の認められる患者1,900人を無作為に2群に分け、一方にはDES-PCIを、もう一方にはCABGを行い追跡した。被験者には全員、LDLコレステロール、収縮期血圧、糖化ヘモグロビンのコントロールに関する推奨薬物治療が行われた。

 主要アウトカムは、総死亡、非致死心筋梗塞または脳卒中の複合イベント発生だった。追跡期間は最低2年(中央値:3.8年)だった。

 被験者の平均年齢は63.1歳(標準偏差:9.1)で、女性は29%、三枝冠動脈疾患が認められたのは全体の83%だった。

心筋梗塞発生率、総死亡率ともにCABG群がPCI群より低率
 結果、主要アウトカム発生はPCI群で多く、5年発生率は、PCI群が26.6%、CABG群が18.7%だった(p=0.005)。

 内訳をみると、心筋梗塞5年発生率はPCI群が13.9%に対しCABG群が6.0%、総死亡率はそれぞれ16.3%と10.9%と、いずれもCABG群で有意に低率だった(それぞれ、p<0.001、p=0.049)。

 一方で脳卒中発生率は、CABG群でPCI群より有意に高率で、5年発生率は、PCI群が2.4%に対しCABG群は5.2%だった(p=0.03)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 専任講師

J-CLEAR評議員

コメンテーター : 大野 貴之( おおの たかゆき ) 氏

三井記念病院 心臓血管外科 部長

J-CLEAR評議員