子宮頸がんリスク、子宮頸部細胞診正常でHPV陰性ならHIV感染による増大なし

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/07

 

子宮頸部細胞診が正常で発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性の女性において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の有無による、高度扁平上皮内病変以上(HSIL+)や子宮頸部上皮内腫瘍2以上(CIN2+)の、5年発症リスクの増大は認められないことが報告された。米国・Albert Einstein College of MedicineのMarla J. Keller氏らが、約700人の女性について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2012年7月25日号で発表した。

HIV感染約400人と非感染の約300人を5年追跡
研究グループは、2001年10月1日~2002年9月30日にかけて、試験開始時点で子宮頸部細胞診が正常だった、HIV感染の420人と、HIV非感染の279人の女性について、2011年4月30日まで追跡した。

主要エンドポイントは、HSIL+とCIN2+の、5年累積発生率だった。

被験者の平均年齢は、HIV感染群が34歳(標準偏差:7)、HIV非感染群が30歳(同:8)だった。

被験者のうちHPV陰性は、HIV感染群中369人(88%、95%信頼区間:84~91)、HIV非感染群中255人(91%、同:88~94)だった。

HIV感染群・非感染群ともに、HSIL+発症は1例、CIN2+発症は5%
結果、追跡期間中にHSIL+が認められたのは、HIV非感染群で1人、HIV感染群でも1人(発症者のCD4細胞数は500/μL以上)だった。

CIN2+も、HIV非感染群が145人中6人(累積発生率:5%、95%信頼区間:1~8)に対し、HIV感染群は219人中9人(同:5%、同:2~8)だった。9人は、CD4細胞数350/μL未満は1人(2%)、350~499/μLは1人(2%)、500/μL以上は7人(6%)だった。

CIN3+発症はHIV感染群とHIV非感染群でそれぞれ1人ずつだったが、がんの発症は認められなかった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)