新たな冠動脈疾患の予測モデル、有病率が低い集団でも優れた予測能

提供元:ケアネット

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公開日:2012/07/06

 



オランダ・エラスムス大学医療センターのTessa S S Genders氏らが新たに開発した冠動脈疾患の予測モデルは、有病率が低い集団においても優れた予測能を示すことが、同氏らが実施した検証試験で確認された。検査前確率は、患者にとって最も有益な検査法を決めるのに有用とされる。ACC/AHAやESCの現行ガイドラインでは、安定胸痛がみられる患者における冠動脈疾患の検査前確率の評価には、Diamond and ForresterモデルやDuke臨床スコアが推奨されているが、いずれの方法にもいくつか欠点があるという。BMJ誌2012年6月23日号(オンライン版2012年6月12日号)掲載の報告。

新規予測モデルの予測能を後ろ向き統合解析で検証




研究グループは、有病率の低い集団における冠動脈疾患の検査前確率の評価に有用な予測モデルを開発するために、個々の患者データのレトロスペクティブな統合解析を行った。

ヨーロッパおよび米国の18施設から、冠動脈疾患の既往歴のない安定胸痛患者が登録された。CTあるいはカテーテルベースの冠動脈造影所見に基づき、低有病率または高有病率の集団に分類した。主要評価項目は閉塞性冠動脈疾患(カテーテル冠動脈造影で1つ以上の血管に≧50%の狭窄)とした。

予測モデルは、基本モデル(年齢、性別、症状、有病率の高低)、臨床モデル(基本モデルの因子、糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙)および拡張モデル(臨床モデルの因子、CT冠動脈造影によるカルシウムスコア)で構成された。低有病率の集団のデータセットを用いて、交差検証法(cross validation)による解析を行い、識別能(C統計量)、キャリブレーション、純再分類改善度(net reclassification improvement; NRI)ついて評価した。
冠動脈カルシウムスコアを加えると予測能がさらに改善




解析の対象となった5,677例(男性3,283例[平均年齢58歳]、女性2,394例[同:60歳])のうち、5,190例(91%)でCT冠動脈造影が施行され、1,634例(31%)が閉塞性冠動脈疾患と診断された。このうち1,083例(66%)にカテーテル冠動脈造影が施行され、886例(82%)に閉塞性冠動脈疾患が確認された。

CT冠動脈造影で閉塞性冠動脈疾患がみられなかった3,556例のうち、526例にカテーテル冠動脈造影が施行され、閉塞性冠動脈疾患が否定されたのは498例(95%)だった。全体として、カテーテル冠動脈血管造影が施行されたのは2,062例(36%)で、そのうち閉塞性冠動脈疾患と診断されたのは1,176例(57%)であった。

単変量および多変量解析では、すべての予測因子が疾患の発現と有意に関連した。臨床モデルの予測能は、基本モデルに比べ優れていた(交差検証されたc統計量が0.77から0.79に改善、NRI:35%)。拡張モデルの冠動脈カルシウムスコアは主要な予測因子であった(同:0.79から0.88に改善、102%)。

著者は、「年齢、性別、症状、心血管リスクなどから成る新たな予測モデルにより、有病率が低い集団における冠動脈疾患の検査前確率の正確な予測が可能となった。この予測モデルに冠動脈カルシウムスコアを加えると、予測能がさらに改善された」と結論している。

(菅野守:医学ライター)