ドネペジル+メマンチン、アルツハイマー病への効果はどの程度?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/02/07

 

 アルツハイマー病(AD)において、メマンチンとコリンエステラーゼ阻害薬との併用はどの程度のベネフィットが期待できるのか。米国・マサチューセッツ総合病院のAlireza Atri 氏らは、AD患者におけるドネペジルとメマンチンの併用療法の有効性と安全性について検討を行った。その結果、両薬剤の併用は統計学的有意かつ臨床的に意義のある効果をもたらし、忍容性も良好であることを報告した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2013年1月21日号の掲載報告。

 本研究では、中等度から高度のAD患者および中等度のAD患者において、固定用量のドネペジルにメマンチンを追加した併用療法の有効性と安全性を評価するためPost hocメタアナリシスを行った。固定用量のコリンエステラーゼ阻害薬にメマンチン20mg/日またはプラセボを追加して比較検討した24週間無作為化二重盲検プラセボ対照試験2件の解析を行った。解析対象はMini-Mental State Examination(MMSE)スコア20点未満で、ドネペジル10mg/日による治療を受けている510例。内訳は、中等度から高度のAD患者(MMSE:5~19点、MOD-SEVサブグループ)と中等度AD患者(MMSE:10~19点、MODサブグループ、367例)であった。有効性については、認知、機能および全身状態に関する各尺度を用いて評価した。さらに、有効性に関する3つのドメインと安全性(治療関連有害事象)のベースラインからの低下が同時に認められた場合、これを「顕著な臨床的悪化」として評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・24週時点のMOD-SEVサブグループにおける成績:
ドネペジルにメマンチンを追加投与した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて認知(p<0.0001)、機能(p=0.02)、全身状態(p=0.010)が有意に良好で、標準化平均差(SMDs)はそれぞれ0.36、0.21、0.23であった(途中で脱落した症例も解析対象から除外せずに評価)。
・24週時点のMODサブグループにおける成績:
MOD-SEV サブグループと同様、メマンチンを追加投与した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて認知(p=0.008)、機能(p=0.04)、全身状態(p=0.008)が有意に良好で、SMDs はそれぞれ0.28、0.21、0.28であった。
・両サブグループともドネペジルにメマンチンを追加した患者は、プラセボを追加投与した患者と比べて「顕著な臨床的悪化」を認めた患者が有意に少なかった(MOD-SEV:8.7%対20.4%、p=0.0002/MOD:5.9%対15.0%、p=0.006)。
・有害事象の発現頻度は両群間で同程度であった。

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(ケアネット)