抗認知症薬は何ヵ月効果が持続するか:国内長期大規模研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/08/05 これまで、アルツハイマー型認知症(AD)に関する研究は、長期的な大規模研究が非常に少なく、既存試験は通常、対象者数わずか数百例程度で実施されている。そのため、認知症機能評価別病期分類(FAST)により評価した、日常生活動作(ADL)の変化に関する詳細な調査はない。順天堂大学の新井 平伊氏らは、現在進行中のADに対するドネペジル塩酸塩の長期大規模観察研究(J-GOLD試験)の中間結果を発表した。著者らは「本研究は、日本におけるAD患者を対象とした最大規模の前向き研究であり、日常診療の実態を示す重要な研究である」としている。Psychogeriatrics誌オンライン版2015年6月26日号の報告。 本研究は、AD患者におけるドネペジル長期投与による疾患状態の変化と安全性を評価することを目的とした。中間結果は、最大24ヵ月の収集されたデータより集計された。有効性は、FASTと認知機能検査(MMSEまたは改訂長谷川式簡易知能評価スケール)を用い評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ドネペジル投与開始時(ベースライン)と比較してFASTステージが改善または維持されていた患者の割合は、6ヵ月時点で91.1%、12ヵ月時点で83.0%、18ヵ月時点で79.5%、24ヵ月時点で74.8%であった。 ・24ヵ月時点でのFASTの改善や維持または増悪に影響を与える要因を調査するため、多変量ロジスティック回帰分析を実施した結果、「認知症高齢者の日常生活における自立レベル」と「罹病期間」が同定された。 ・認知機能は、ベースラインと比較して、12週、6ヵ月時点で有意に改善し、12、18ヵ月時点ではベースラインレベルを維持していたが、24ヵ月時点では有意に低下していた。 関連医療ニュース 認知症治療、薬物療法にどの程度期待してよいのか アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学 抗認知症薬4剤のメタ解析結果:AChE阻害薬は、重症認知症に対し有用か 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Arai H, et al. Psychogeriatrics. 2015 Jun 26. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 高齢者への2価コロナワクチン、脳卒中リスクは?/JAMA(2024/03/29) 出生率は世界的に低下、2100年までの予測/Lancet(2024/03/29) 新型コロナウイルス感染症の認知機能障害は徐々に軽症化している(解説:岡村毅氏)(2024/03/29) 麻疹ワクチン不足、定期接種を最優先に/日医(2024/03/29) 初発統合失調症の脳ネットワークに対するアリピプラゾールの影響(2024/03/29) ファセンラ、小児の難治性気管支喘息で製造販売承認(一部変更)取得/AZ(2024/03/29) 日本での大腸がん手術の転帰、月~木曜日vs.金曜日(2024/03/29) 院外心停止患者への市民による心肺蘇生、AED使用で生存が2倍以上に/日本循環器学会(2024/03/29) 「週末戦士」でも減量効果は習慣的な運動と同じ(2024/03/29) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草(2014/01/20) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)