うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/06/13 重症うつ病の治療において第2段階の治療戦略を比較した報告は少ない。第一選択薬として使用したSSRIで治療効果が不十分だった場合、増量するべきか、SNRIへの切り替えを行うべきか明らかになっておらず、それぞれの忍容性と有効性を評価する必要がある。Bose氏らはSSRIであるエスシタロプラム10㎎/日で効果不十分であった患者における次の治療選択として、エスシタロプラムの増量とSNRIであるデュロキセチンへ切り替えた場合について比較検討した。Clin Drug Investig誌2012年6月号掲載。本試験はエスシタロプラムまたはデュロキセチンによる8週間の無作為化実薬対照二重盲検比較試験として実施された。2週間のlead-in期間(単盲検 )でエスシタロプラム10㎎/日に対し治療効果不十分(MADRSの改善率50%未満)であった患者571例(外来患者、18~65歳、MADRS総スコア30以上)から抽出したうつ病患者474例が対象。エスシタロプラム増量群(20㎎/日)229例とデュロキセチン切り替え群(60㎎/日)245例に無作為に割り付け検討した。主要評価項目は理由に関わらず試験中止までの期間とした。主な結果は以下のとおり。 ・主要評価項目である試験中止までの期間は両群間で差がなかった(ハザード比 :0.95、95%信頼区間:0.64~1.41、p=0.727)。・エスシタロプラム増量群はデュロキセチン切り替え群と比較して8週後のMADRS総スコアの有意な改善が認められた(LSMD:-1.87、95%信頼区間:-3.60~-0.14、p=0.034、LOCF解析)。・8週間後の寛解率(MADRS総スコア10以下)はエスシタロプラム増量群で54%、デュロキセチン切り替え群で42%であり、両群間に有意な差が認められた(p=0.013)。・有害事象は両群間で同等であった。・本試験では、エスシタロプラム10㎎/日投与で治療効果が不十分だった場合、エスシタロプラムを20㎎/日に増量する方が、デュロキセチン60㎎/日へ切り替えるよりもより有用である可能性が示唆された。(ケアネット 鷹野 敦夫)関連医療ニュース ・うつ病の血液検査法を開発-若者の将来的な診断に有用 ・職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か? ・双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める 原著論文はこちら Bose A, et al. Clin Drug Investig. 2012; 32: 373-385. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 小児心臓弁膜症、部分心臓移植は実現可能か/JAMA(2025/09/10) 「かぜ」への抗菌薬処方、原則算定不可へ/社会保険診療報酬支払基金(2025/09/10) がん患者への早期緩和ケア、終末期の救急受診を減少(2025/09/10) 双極症に対する気分安定薬使用が認知機能に及ぼす影響〜メタ解析(2025/09/10) 日本女性、出産意欲の向上に関連する要素は?/神奈川県立保健福祉大学(2025/09/10) AIによる診療記録作成で医師のバーンアウトが減少(2025/09/10) 肺切除後の肺瘻リスク、低侵襲開胸手術で軽減の可能性(2025/09/10)