職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/11

 

 年々増加している職場におけるうつ病は、生産性の低下など大きな社会的損失をきたす。そのため、様々な治療法が検討されている。古川氏らは職場における小うつ病(閾値下うつ病)および労働効率が低下している状態(presenteeism)に対する電話認知行動療法(tCBT)の有効性を検討した。古川氏らは「tCBTは職場におけるうつ病患者への簡便な治療法のひとつとなりうるが、さらに長期間の検討が必要である」と結論づけている。

 日本の大規模な製造会社に勤務する閾値下うつ病患者を標準的な従業員支援プログラム(EAP)単独群とEAP+tCBT群に無作為に割り付け、4ヵ月時点での抑うつ重症度(Beckのうつ病自己評価表:BDI-IIにより測定)と労働生産性(WHO健康と仕事の生産性アンケート:HPQにより測定)を比較検討した。

 主な結果は以下の通り。

1)118例をEAP単独群60例、EPA+tCBT群58例に無作為割り付け。
2)EAP+tCBT群はEAP単独群よりも抑うつ重症度改善率が有意に高かった(p<0.001、エフェクトサイズ=0.69、95%信頼区間:0.32-1.05)。
3)EAP+tCBT群におけるBDI-IIのベースラインからの変化量は-17.3。
4)労働生産性への有意な影響は認められなかった。