米国のインターンの半数以上がセクハラを経験

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2024/04/24

 

 #MeToo運動は、医療従事者のセクシュアルハラスメント(以下、セクハラ)の抑制にはほとんど役立っていないようだ。研修医最初の1年に当たるインターン期間中に半数以上がセクハラを受けていたとする研究結果が、米ミシガン大学神経科学研究所のElena Frank氏らにより、「JAMA Health Forum」に3月22日報告された。女性では4人に3人近く、男性では3人に1人以上のインターンがセクハラを受けたことが明らかになったという。研究グループが「JAMA Network Open」2023年12月26日に発表した研究でも、医学校や病院は、あらゆる形態のセクハラに関してより広範な教育を行い、対処する必要があることが示されていた。

 Frank氏らは今回の研究で、Intern Health Studyに2017年、2018年、2022年に調査へ参加登録したインターンの調査データの分析を行った。調査参加者は、1項目の自記式質問票と、19項目の質問で3種類のセクハラ(ジェンダーハラスメント、望まない性的な注目、性的強要)について評価する短縮版Sexual Experiences Questionnaire(SEQ-S)で構成された調査に、インターンシップの最終月(2017・2018・2023年6月)に回答していた。セクハラに対する認識は、SEQ-Sでセクハラを受けたと判定された参加者の割合と、自記式質問票で「セクハラを受けた」と回答した参加者の割合を比較して評価した。

 4,178人〔女性2,159人(51.7%)、年齢中央値27(四分位範囲26〜28)歳〕が調査を完了した。調査参加者の重み付けを行って解析した結果、2017年から2023年の間にセクハラの発生率は62.8%から54.6%へと低下していることが明らかになった。性別ごとに見ると、女性インターンは2017年、2018年、2023年のいずれの年でも70%以上がセクハラを経験していた(同順で、76.6%、76.8%、72.0%)。セクハラを経験した男性インターンは、2017年と2018年では半数以上であったが(50.8%と53.4%)、2023年には36.4%に低下していた。また、3種類のセクハラのうち、ジェンダーハラスメントは2017年の61.0%から2023年には51.7%に低下していたが、性的強要は女性(2.3%→5.5%)と非外科系分野のインターン(1.6%→4.0%)で増加していた。セクハラを認識していたインターンの割合は、2017年の8.6%から2023年には18.4%に増加し、この変化は男性(2.8%→6.9%)より女性(13.1%→23.9%)、非外科系インターン(9.2%→16.3%)よりも外科系インターン(6.6%→26.7%)で顕著だった。

 Frank氏は、「近年、セクハラの発生率は全体的に減少しており、正しい方向へ是正されていることがうかがわれるものの、インターンの間でのセクハラ発生率は、いまだに驚くほど高い」と述べている。

 Frank氏らが2023年に発表した研究では、28カ所の施設でインターンシップ中の2,027人〔男性963人(47.5%)、年齢中央値27(四分位範囲26〜28)歳〕に対する調査データが分析された。その結果、セクハラの発生率は病院によって差があり、インターンがハラスメントを受ける可能性が他の病院より20%高い病院もあることが示されていた。

 研究グループは、「特に外科研修プログラムは、セクハラに対処する必要がある」と結論付けている。またFrank氏は、「管理者、教授陣、研修生が、セクハラは研修経験の一部として予期されるものでも許容されるものでもないと真に理解するまでは、医師にとって公平で安全な学習環境が実現されることはない」と述べている。

[2024年3月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら