同性カップルの遺伝子を受け継ぐ子どもも夢ではない?

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/04/16

 

 マウスの皮膚細胞の核を、核を取り除いた別のマウスの卵子に移植して染色体を操作し、人工授精を行うことで、皮膚提供マウスと精子提供マウスの遺伝子を受け継いだ胚を作り出せることが示された。この技術は、加齢やがん治療などが原因で健康な卵子を産生できない女性に役立つ可能性があるだけでなく、同性カップルでも両者の遺伝子を受け継ぐ子どもを持てる日が来る可能性のあることを意味する。米オレゴン健康科学大学(OHSU)胚細胞・遺伝子治療センターのShoukhrat Mitalipov氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に3月8日掲載された。

 Mitalipov氏は、「この技術が目指しているのは、自分で卵子を産生できない患者のために卵子を作り出すことだ」と話す。研究グループは、この研究で用いられた技術は、1996年にスコットランドで、クローン羊のドリーを作る際に使われた技術と同じだと説明する。それは、iPS細胞を精子や卵細胞に分化させるのではなく、皮膚細胞の核を、核を取り除いたドナー卵子に移植する体細胞核移植に基づく技術である。ただし、ドリーは体細胞を提供した片親(母親)のクローンであったのに対し、今回の研究では、両親の遺伝子を受け継いだ胚を作ることに焦点が当てられた。

 胚の作成は、3つのステップを踏んで行われた。まず、マウスの卵子を採取して核を取り除き、そこに別のマウスの皮膚細胞の核を移植した。次に、移植した皮膚細胞の核から染色体の半分を除去した。このプロセスは、成熟した精子や卵子を生成するために細胞が分裂する減数分裂と同様であり、これにより、1セットの染色体を持つ1倍体の卵子が生成された。最後に、体外受精の技術によりこの卵子と精子を受精させることで、2倍体の胚を得た。この胚を育てることで、両方の親の遺伝子を均等に受け継ぐ子どもを誕生させることができることになる。

 研究グループは、このプロセスは、世界中の他の研究室がしのぎを削って実験している、皮膚細胞を完全に再プログラムして卵細胞や精子細胞に変換する技術よりもシンプルな方法であることが証明される可能性があると見ている。論文の共著者である、OHSU医学部産婦人科学教授のPaula Amato氏は、「われわれの技術の利点は、細胞の初期化にかかる長い培養時間を省略できることにある。なぜなら数カ月をかけて細胞を培養している間には、多くの有害な遺伝的、エピジェネティックな変化が起こり得るからだ」とOHSUのニュースリリースの中で述べている。

 ただし、この技術を人間に適用できるようになるのはまだ何年も先のことのようだ。Amato氏は、「今回の研究結果から多くの洞察を得ることができた。しかし、自然界で起きていることを再現するためには、染色体がどのように対になり、どのように正確に分裂するのかを理解する必要があり、そのためにするべきことは山ほどある」と話している。

[2024年3月11日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら