膝関節の石灰化は変形性膝関節症の悪化要因

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/04/09

 

 以前は無害と考えられていた膝関節の石灰化は、変形性膝関節症(OA)を悪化させる一因となり得ることが、米ボストン大学医学部教授のTuhina Neogi氏らによる研究で明らかになった。関節の石灰化により骨と骨の間でクッションの役割を果たしている軟骨がすり減り、関節へのダメージが促される可能性のあることが示唆されたのだ。この研究の詳細は、「Arthritis & Rheumatology」に2月19日掲載された。

 OAは膝関節の軟骨がすり減ることで痛みや変形が生じる疾患で、患者数は、米国で約3400万人、世界では6億人に上る。研究グループによると、現状では、OAの進行を止めるのに有効な治療法はないという。

 これまでは、膝関節の石灰化は臨床的には問題のない単なる老化現象と考えられていた。しかしNeogi氏らは、膝関節の石灰化がOAの進行に影響する可能性があると考えた。そこで、CT検査で評価した膝関節石灰化とMRI検査で評価した膝の軟骨損傷とのデータがそろう1,673人(平均年齢60歳、女性56%、平均BMI 29)を対象に、石灰化の部位と組織特異的な影響に焦点を当てて、両者の関連を検討した。

 対象者の9.0%に膝関節の石灰化が認められた。また、追跡調査時には47.4%の対象者で軟骨損傷が確認された。解析の結果、部位に関係なく、膝組織の石灰化と軟骨損傷との間に関連は認められなかった。しかし、軟骨の石灰化は、同じコンパートメント内の軟骨が損傷を受けるリスクを1.39倍高めることが明らかになった。

 こうした結果を受けてNeogi氏は、「軟骨の損傷が最も起こりやすい場所は、石灰が沈着した場所であることが示された。このことは、局所的な影響があることを示唆している」と話している。同氏はさらに、「われわれは、最近発表した別の論文でも膝関節の石灰化が膝の痛みに関与していることを明らかにしている。これらの知見を総合すると、石灰化がOAの構造的損傷や症状に重要な役割を果たしていることは明らかだ」と述べている。

 その上でNeogi氏は、「これで、膝関節の石灰化がOAに悪影響を及ぼすことが明らかになった。今後は、OAの痛みを和らげ、軟骨損傷の進行を抑えるために、膝関節の石灰化を防ぐ方法を特定することに焦点を当てて研究を進めていくことができる」と話している。

[2024年3月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら