職場でのウェルネスプログラムは効果なし?

提供元:HealthDay News

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公開日:2024/02/19

 

 多くの企業が、従業員に向けてマインドフルネス、ライフコーチング、睡眠の質の改善、その他多くの問題に焦点を当てた無料のウェルネスプログラムの利用を推奨している。しかし、このようなプログラムの中でウェルビーイングの向上に寄与するのはたった1種類に過ぎなかったことが、4万6,000人以上の英国人労働者を対象にした調査結果の解析から明らかになった。英オックスフォード大学のウェルビーイング・リサーチ・センターのWilliam Fleming氏によるこの研究結果は、「Industrial Relations Journal」に1月10日掲載された。

 この研究は、Britain's Healthiest Workplace(BHW)調査の2017年と2018年のデータに基づくもの。BHW調査には、2014年から2018年の間に総計で233企業の従業員4万6,336人が参加し、繰り返し調査に回答していた。調査では、仕事の満足度やストレスレベルなどとともに、帰属意識や会社からのサポートレベル、トレーニングを受ける機会についても問われていた。Fleming氏は、個人レベルのウェルビーイングに対する介入の効果を、介入への参加者と非参加者の間で比較した。介入は、マインドフルネス、レジリエンス、ストレスマネジメント、リラクゼーションクラス、ウェルビーイングアプリなどで、その数は約90種類に及んだ。

 その結果、チャリティーやボランティアプログラムを除いて、従業員のウェルビーイングは、個人レベルのメンタルヘルスへの介入プログラムに参加しているかいないかにかかわらず、変化していないことが明らかになった。また、マインドフルネスやレジリエンス/ストレスマネジメントなどの介入は、ウェルビーイングに悪影響を与え得ることも示唆された。ただしこの結果は、こうした介入にはもともとメンタルヘルスのレベルが低下している人の参加が多いため、意図した効果が得られなかった可能性もあると考えられた。

 こうした結果についてFleming氏は、「得られた結果は、個人レベルでのウェルビーイングに対する介入の広がりと正当性に挑戦状を突きつけるものだ」と話す。また同氏は、「これらの結果が物議を醸す内容であることは承知している。しかし、企業が本当に従業員の気分を改善したいのであれば、スケジュール、給与、人事考課などの労働条件を改善するのが最善の策なのかもしれない。従業員がマインドフルネスアプリや睡眠プログラム、ウェルビーイングアプリを利用したいと思うこと自体は何も悪くない。しかし、企業が従業員のウェルビーイング増進を望むのであれば、働き方に関する改革が必要だ」とNew York Times紙に語った。

 米スプリングヘルス社の共同設立者で米イェール大学の心理学分野のAdam Chekroud氏は、「この研究で、職場において実施されているウェルネスプログラムの効果が全面的に否定されたのは、信憑性の高くない介入に焦点を当てているからだ」と述べ、今回の研究結果に対して否定的な見解を示している。スプリングヘルス社は、従業員を、メンタルヘルスを高めるための心理療法やオンライン薬物療法に結び付けるプラットフォームを運営している。同氏によると、スプリングヘルス社による2022年の研究では、同社のサービスを利用した1,132人の米国人労働者のほとんどが抑うつの軽減を実感したほか、欠勤日数の減少や、職場の生産性に関する自己申告の上昇も確認されたという。

 一方で、英国のメンタルヘルス財団で研究・応用学習の責任者を務め、世界保健機関(WHO)や英イングランド公衆衛生局(PHE)に対してメンタルヘルス向上を目指す取り組みについて助言を行っているDavid Crepaz-Keay氏は、「この研究結果は、従業員支援の有効性を一貫して示唆してきた、これまでの多くの研究よりも確実に強固だ」と述べ、Fleming氏を支持する立場を明示している。

[2024年1月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2024 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら