セマグルチドが糖尿病患者の視力に悪影響を及ぼす可能性は否定的

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/12/26

 

 オゼンピックやウゴービという商品名で流通しているGLP-1受容体作動薬のセマグルチドは、使用開始後に高血糖が急速に改善されることがある。急速な高血糖の改善は時に糖尿病網膜症の悪化を引き起こすことが知られているが、セマグルチド使用開始後に網膜症の急性増悪が生じる懸念は高くないとする研究結果が報告された。米ミネソタ網膜コンサルタントのZeeshan Haq氏らの研究によるもので、第127回米国眼科学会年次総会(AAO2023、11月3~6日、サンフランシスコ)で報告された。なお研究者らは、セマグルチドによる治療を受けることを検討している糖尿病患者に対し、より決定的な研究結果が明らかになるまでは、同薬のメリットとデメリットについて医師とよく相談することを勧めている。

 Haq氏らは、4万8,000人以上の成人2型糖尿病患者の転帰を追跡。解析対象者の年齢は51~75歳で、全員がセマグルチドの注射剤による治療を受けていた。セマグルチドによる治療開始から2年以内に、新たに網膜症を発症した患者、または既存の網膜症が悪化した患者は、全体の2.2%にとどまっていた。セマグルチド治療開始時点で既に初期の網膜症(軽度から中等度の非増殖糖尿病網膜症)と診断されていた患者に限った解析でも、網膜症の悪化が認められた割合は3.5%だった。そして、セマグルチド治療開始時点で既に進行期の網膜症(重度の非増殖糖尿病網膜症または増殖糖尿病網膜症)を有していた患者の60%で、網膜症の改善を示す所見が観察された。

 これらの結果についてHaq氏は、「これは予備的な研究であり、明確な結論を出すにはさらなる研究が必要だが、明らかになったデータは有望なものと言える」と語っている。ただし同氏は米国眼科学会発のリリースの中で、「セマグルチドによる治療を受けることを検討している糖尿病患者は、現時点では自分自身の状態について、主治医と眼科医に相談する必要がある」とアドバイスしている。

 今回発表された研究は、患者データを遡及的に解析する手法で行われた。それに対して現在、セマグルチド治療が視力に及ぼす影響を前向きに検討する臨床試験が進行中だ。Haq氏によると、その臨床試験は2027年初頭に終了し、結果が明らかになるという。

 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

[2023年11月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら