風邪にも長期間続く後遺症がある?

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/11/06

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期以後もさまざまな症状が持続している状態を指す「long COVID」という言葉は、今やすっかり認識されている。しかし、このような長引く健康への影響を引き起こす呼吸器系ウイルスは、新型コロナウイルスだけではないようだ。英ロンドン大学クイーン・メアリー校のGiulia Vivaldi氏らの研究で、風邪やインフルエンザなどのCOVID-19以外の急性呼吸器感染症(acute respiratory infection;ARI)でも、急性期後にさまざまな症状が4週間以上も続く、いわゆる「long cold」が生じ得ることが明らかになった。詳細は、「eClinicalMedicine」に10月6日掲載された。

 この研究では、英国の成人でのARIに関する集団ベースの前向き研究(COVIDENCE UK)のデータを用いて、COVID-19への罹患歴がある人、COVID-19以外のARIへの罹患歴がある人、ARIへの罹患歴がない人(対照)を対象に、長期にわたり持続する症状の比較を行い、COVID-19とそれ以外のARIそれぞれで一定数見られる症状の特定を試みた。COVID-19以外のARIは、肺炎、インフルエンザ、気管支炎、扁桃炎、咽頭炎、中耳炎、風邪、新型コロナウイルス以外のウイルスを原因とする上・下気道感染症、新型コロナウイルス検査で陰性だった人の自己報告による症状から判断されたARIとされた。

 対象は、2021年の1月21日から2月15日の間に実施された追跡調査に回答した、新型コロナワクチン未接種者1万171人(平均年齢62.8歳、女性68.8%)。このうち、1,311人(12.9%、COVID-19群)は4週間以上前にCOVID-19に罹患した経験を、472人(4.6%、ARI群)はCOVID-19以外のARIに罹患した経験を持っていた。COVID-19の症状は、咳、睡眠障害、記憶障害、集中力の低下、筋肉や関節の痛み、味覚障害/嗅覚障害、下痢、腹痛、声の異常、脱毛、心拍数の異常な増加、軽度の頭痛やめまい、異常な発汗、息切れ(呼吸困難)、不安や抑うつ、倦怠感の16種類とし、これらの症状の有病率や重症度(評価尺度で評価可能な呼吸困難、不安や抑うつ、倦怠感のみ)を評価した。また健康関連の生活の質(HRQoL)についての評価も行った。

 その結果、COVID-19群では対照群に比べて、全ての症状の有病率や重症度が高く、HRQoLが低かったが、ARI群でも、筋肉や関節の痛み、味覚障害/嗅覚障害、脱毛を除くその他の症状の有病率や重症度が対照群よりも高く、HRQoLが低いことが明らかになった。研究グループは、「この結果は、認識されてはいないものの、COVID-19以外のARIでも『long cold』とでもいうべき後遺症が生じていることを示唆するものだ」との見方を示している。COVID-19群とARI群を比べると、前者では特に、味覚障害/嗅覚障害と軽度の頭痛やめまいが生じる傾向が強く、オッズ比は同順で19.74(95%信頼区間10.53〜37.00)、1.74(同1.18〜2.56)であった。

 論文の上席著者である、ロンドン大学クイーン・メアリー校のAdrian Martineau氏は、「この結果は、新型コロナウイルス検査の結果が陰性だったにもかかわらず、呼吸器感染症への罹患後に症状が長引いて苦しんでいる人々の経験と一致するのではないかと思う」と話す。同氏は、COVID-19以外の呼吸器感染症への罹患後に症状が持続する病態についての認識や、その病態を言い表す共通の用語さえないことを指摘し、「long COVIDに関する研究を続ける必要はあるが、それとともに、他のARIが及ぼす持続的な影響について調査・検討することも重要だ。それにより、一部の人で症状が長引く理由を探ることが可能となり、最終的にはそうした患者に対する最適な治療やケアの特定に役立つ」と述べている。

[2023年10月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら