全身性エリテマトーデスの関節痛、litifilimabが有効性を示す

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/10/10

 

 皮膚エリテマトーデス患者の発疹治療に有効性が示されていたリティフィリマブ(litifilimab)が、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)患者の関節の痛みにも有効である可能性を示した、第2相ランダム化比較試験の結果が報告された。米ノースウェル・ヘルス、リウマチ学部長のRichard A. Furie氏らが実施したこの研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」9月8日号に掲載された。

 SLEは、免疫系が誤って自身の体を攻撃してしまうことで、関節や皮膚、脳、肺、腎臓、血管など全身にさまざまな症状が現れる自己免疫疾患である。リティフィリマブは、血液樹上細胞抗原2(BDCA2)に結合するモノクローナル抗体で、皮膚エリテマトーデスおよびSLEの治療薬として開発が進められている。BDCA2は形質細胞様樹状細胞にのみ発現し、抗体と結合することで、形質細胞様樹状細胞が、SLEの病態形成との関与が示唆されているI型インターフェロン(IFN-I)などのサイトカインを産生するのを抑制する。

 試験では、試験参加者をリティフィリマブ(50mg、150mg、450mgのいずれか)、またはプラセボを0、2、4、8、12、16、20週目に投与する群にランダムに割り付け、主要評価項目を皮膚病変の疾患活動性に設定していた。その後、試験デザインが変更され、関節炎と活動性皮膚病変を有するSLE患者を、リティフィリマブ450mgを投与する群とプラセボを投与する群に割り付け、主要評価項目も、投与開始から24週時点での活動性の関節の数(腫脹のある関節の数と圧痛のある関節の数の合計で評価)に変更された。

 最終的に334人がいずれかの群に割り付けられ、その中から、450mgのリティフィリマブまたはプラセボを投与され、腫脹関節数と圧痛関節数がともに4個以上であった102人を対象に主要解析が行われた。その結果、投与開始から24週時点までの活動性の関節数の変化量の最小二乗平均値は、リティフィリマブ投与群で−15.0±1.2、プラセボ投与群で−11.6±1.3であり、後者に比べて前者で有意に減少していた(平均差−3.4、95%信頼区間−6.7〜−0.2、P=0.04)。

 Furie氏は、「SLEに対しては数多くの治療薬が開発されているが、ついに効果を見込める治療薬の開発に成功した」と述べている。

 この研究論文の付随論評を執筆した、米シダーズ・サイナイ医療センターのDaniel Wallace氏は、「リティフィリマブはSLEと皮膚エリテマトーデスの両方にとって有望な治療薬だ」と話す。ただし、同薬剤を投与された患者では、帯状疱疹の発症リスクが増加していた。同氏はこのことを踏まえ、「リティフィリマブによる治療を受ける患者は、投与前に帯状疱疹ワクチンを接種しておくとよいだろう」と述べている。

 現在、リティフィリマブは第3相試験で安全性と有効性を検証する段階にある。Furie氏は、「試験が順調に進めば、その後、米食品医薬品局(FDA)に承認申請を行うことができるだろう」との見通しを示している。

[2022年9月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら