切除不能StageIIIのNSCLCにおけるCRTとデュルバルマブの同時併用の成績(PACIFIC-2)/ELCC2024

提供元:ケアネット

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公開日:2024/04/25

 

 切除不能StageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)におけるデュルバルマブと化学放射線療法(CRT)の併用は主要評価項目を達成できなかった。

 切除不能StageIIIのNSCLCに対するCRT+デュルバルマブ地固め療法は、第III相PACIFIC試験において、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の持続的な改善をもたらした。現在、PACIFICレジメンは切除不能なStageIIIのNSCLCにおける標準治療となっている。PACIFIC-2は同対象に対して、PACIFICレジメンの初回治療をデュルバルマブ+CRTとした治療シークエンスを評価する第III相試験である。欧州肺がん学会(ELCC2024)で最終結果が発表された。

・対象:切除不能な局所進行StageIIIのNSCLC
・試験群:デュルバルマブ 4週ごと+CRT→デュルバブマブ(Dur+CRT群)
・対照群:プラセボ 4週ごと+CRT→プラセボ(CRT群)
・評価項目
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価によるPFS
[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、PFS2、奏効期間、病勢コントロール率、健康関連QOLなど

 主な結果は以下のとおり。

・BICR評価のPFS中央値はDur+CRT群13.8ヵ月、CRT群9.4ヵ月であった(ハザード比[HR]:0.85、95%信頼区間[CI]:0.65〜1.12、p=0.247)。
・OS中央値はDur+CRT群36.4ヵ月、CRT群29.5ヵ月であった(HR:1.03 、95%CI:0.78〜1.39、p=0.823)。
・ORRはDur+CRT群60.7%、CRT群60.6%であった(p=0.976)。
・Grade3/4の有害事象(AE)はDur+CRT群の53.4%、CT群の59.3%に発現した。
・死亡に至るAEはそれぞれ13.7%と10.2%、治療中止に至るAEはそれぞれ25.6%と12.0%に発現した。
・放射線性も含めた肺臓炎の頻度はDur+CRT群28.8%、CRT群28.7%と同等であった。

 CRT+デュルバルマブ→デュルバルマブ地固め療法は切除不能StageIIIのNSCLCの生存改善を示さなかった。これらの結果を受け、発表者は、切除不能なStageIIIのNSCLC患者に対する標準治療は依然としてPACIFICレジメンであると結んだ。

(ケアネット 細田 雅之)

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