胃がん1次治療のzolbetuximab、2試験の日本人サブグループ解析結果(SPOTLIGHT・GLOW)/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2024/02/29

 

 CLDN18.2陽性、HER2陰性で、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がん患者において、CLDN18.2を標的とするモノクローナル抗体zolbetuximabは日本において保険承認申請中であり、近日中の承認が見込まれている。この承認申請の根拠となった第III相SPOTLIGHT試験およびGLOW試験の日本人サブグループの解析結果が、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で発表された。

【SPOTLIGHT試験】
 がん研有明病院の山口 研成氏がPresidential Session 4で発表した。

・対象:CLDN18.2陽性、HER2陰性、PS0~1、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がんの成人患者
・評価項目:
 [主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)
 [副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、安全性など
・試験群:zolbetuximab(800mg/m2、その後600mg/m2を3週ごと)+mFOLFOX6(2週ごと):zolbetuximab群
・対照群:プラセボ+mFOLFOX6(2週ごと):プラセボ群

 [全体集団]
zolbetuximab群(283例)、プラセボ群(282例)
・PFS中央値:zolbetuximab群10.61ヵ月、プラセボ群8.67ヵ月(ハザード比[HR]:0.751)
・OS中央値:zolbetuximab群18.23ヵ月、プラセボ群15.54ヵ月(HR:0.750)
・ORR:zolbetuximab群60.7%、プラセボ群62.1%
・有害事象:Grade3以上は、zolbetuximab群で279例中242例(87%)、プラセボ群で278例中216例(78%)。主なGrade3以上の有害事象は悪心、嘔吐、食欲減退で、治療関連死は、zolbetuximab群で5例(2%)、プラセボ群で4例(1%)報告された。

 [日本人サブグループ]
zolbetuximab群(32例)、プラセボ群(33例)
・PFS中央値:zolbetuximab群18.07ヵ月、プラセボ群8.28ヵ月(HR:0.493)
・OS中央値:zolbetuximab群23.10ヵ月、プラセボ群17.71ヵ月(HR:0.719)
・ORR:zolbetuximab群70.8%、プラセボ群53.8%
・有害事象:Grade3以上は、zolbetuximab群で31例中24例(77.4%)、プラセボ群で32例中22例(68.8%)。主な有害事象は嘔吐(zolbetuximab群90.3%対プラセボ群53.1%)、末梢神経障害(74.2%対46.9%)、食欲減退(71.0%対53.1%) 。Grade3以上の有害事象は好中球減少症(54.8%対50.0%)が多かった。

【GLOW試験】
 国立がん研究センター中央病院の庄司 広和氏がOral Session 3で発表した。

・対象:CLDN18.2陽性、HER2陰性、PS0~1、未治療の切除不能な局所進行または転移のある胃腺がん/食道胃接合部腺がんの成人患者
・評価項目:
 [主要評価項目]PFS
 [副次評価項目]OS、ORR、安全性など 
・試験群:zolbetuximab(800mg/m2、その後600mg/m2を3週ごと)+CAPOX(21日ごと):zolbetuximab群
・対照群:プラセボ++CAPOX(21日ごと):プラセボ群

 [全体集団]
zolbetuximab群(254例)、プラセボ群(253例)
・PFS中央値:zolbetuximab群8.21ヵ月、プラセボ群6.80ヵ月(HR:0.687)
・OS中央値:zolbetuximab群14.39ヵ月、プラセボ群12.16ヵ月(HR:0.771)
・ORR:zolbetuximab群53.8%、プラセボ群48.8%
・有害事象:zolbetuximab群で最も発現頻度の高かった有害事象は、悪心(68.5%)、嘔吐(66.1%対)、食欲減退(41.3%)だった。

 [日本人サブグループ]
zolbetuximab群(24例)、プラセボ群(27例)
・PFS中央値:zolbetuximab群20.80ヵ月、プラセボ群8.28ヵ月(HR:0.352)
・OS中央値:zolbetuximab群24.18ヵ月、プラセボ群14.69ヵ月(HR:0.494)
・ORR:zolbetuximab群68.8%、プラセボ群61.9%
・有害事象:多かった有害事象は末梢神経障害(zolbetuximab群79.2%対プラセボ群51.9%)、嘔吐(62.5%対55.6%)、食欲減退(54.2%対51.9%) だった。Grade3以上有害事象の発生率は大きな差はなかった(58.3%対63.0%)。

 この2試験の結果を受け、Presidential Session 4では韓国・Yonsei Cancer HospitalのSun Young Rha氏がディスカッサントとなり、議論が行われた。Rha氏は「SPOTLIGHT試験とGLOW試験はほぼ同時期に同デザインで行われた試験である。SPOTLIGHT試験は全体集団と日本人集団で大きな傾向は同じだったが、日本人集団はPFSが良好だった。GLOW試験では日本人のPFSが全体集団と比較して非常に長く、両群に差も付いた。OSも全体集団より良好な結果だ。日本人の参加例が少ないためかもしれないが、これらの要因については今後の検討が必要だろう。胃がん1次治療は免疫チェックポイント阻害薬とzolbetuximabの比較など、多くの検討課題が出ている。人種間の比較やリアルワールドデータの検討も重要だ」とした。

(ケアネット 杉崎 真名)