肝線維化の食い止めに、NASH治療アプリの国内第III相試験開始/CureApp

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/28

 

 いまだに治療法のない生活習慣病であるNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の光明の一筋となるか―。CureAppは研究開発中の未承認医療機器であるNASH治療アプリ(以下、本アプリ)の国内第III相臨床試験を2024年1月より開始したことを2月20日の記者会見にて公表した。

 本治験は、NASHと診断された患者のうち、生活習慣指導により治療効果が期待できると医師が判断した患者を対象に、治験実施医療機関にて本アプリを併用する診療群(介入群)と医師による生活習慣指導シートと体重記録シートを併用して診療する群(対照群)にわけて、登録後48週時点での有効性と安全性を検証する。主要評価項目は、登録後48週時点における肝線維化の増悪を伴わないNASHが改善した患者の割合(NASHからnon-NASHになった割合)。

肝硬変・肝がんリスクに影響する肝線維化、その進展を体重コントロールで抑制

 NASHは潜在患者数が糖尿病より多いといわれ、肝がんや心血管疾患などの重篤な疾病に繋がる「生活習慣病」の1つである。世界各国の製薬企業もNASH治療薬の開発に注力しているが、現時点で有効な治療法は見つかっていない。これまでは脂肪肝の改善が強調されてきたが、肝線維化を食い止めることが肝硬変・肝がんリスクの抑制につながることが今では明らかになっている。早期に肝線維化を発見し、患者の生活習慣の改善を図れるかどうかが鍵となることから、行動変容に有効とされるアプリはNASH治療との親和性が高いと考えられる。

 また、NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)にも、「食事・運動療法による体重減少はNASHの病態を改善させる」と明記されており、7%以上の体重減少によりNASHの肝脂肪化や炎症細胞浸潤、風船様肥大といった病態を軽減できるという具体的な減量目標も明らかとなっている。さらに、本アプリによる治療空白期間の体重管理は、患者のみならず医療者の負担軽減にもつながる可能性がある。

 本アプリに期待することについて、岡上 武氏(済生会吹田病院名誉院長/本治験統括アドバイザー)は「体重を7%減らすことで肝線維化もワンランク下がることが明らかになっている。このアプリを使うことで体重を減らすことが非常に重要になる」とコメント。また、建石 良介氏(東京大学大学院医学系研究科消化器内科学 准教授/本治験調整医師)は「肝線維化の進展には時間がかかるため、患者が病院受診する50~70代にはすでに線維化が進行している。早期発見して進行を食い止めるためにはセルフコントロールが重要で、アプリによる治療はそこにアプローチして全身状態とともに肝線維化を改善することが目標となる。また、NASHの治療を行う上で、患者の生活習慣の修正や体重減少を促すことが重要だと理解されつつも、診療時間以外の治療空白期間において患者自身が生活習慣を是正し、長期間継続・維持することは極めて困難である。医療者にとっても治療空白期間の患者状態をアプリから確認できることは意義がある」とコメントした。

 なお、本アプリを将来的に多くの患者に届けるために、CureAppは今回の治験開始に向けて2022年にサワイグループホールディングスと共同開発契約を締結している。

(ケアネット 土井 舞子)