うつ病や不安症における人生の目的が果たす役割

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/09/20

 

 人生の目的は、自身の活動に関しての意味と目的の感覚、そして人生には意味があるという全体的な感覚により構成されている。オーストラリア・ニューイングランド大学のIan D. Boreham氏らは、人生の目的とうつ病や不安症との関連を、包括的に評価した。その結果、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが低いことが報告された。Journal of Clinical Psychology誌オンライン版2023年8月12日号の報告。

 人生の目的とうつ病や不安症との関連を調査するため、メタ解析を実施した。メタ解析には、99の研究、6万6,468例を含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・いずれのサンプルにおいても、人生の目的レベルが高いほど、うつ病や不安症レベルが有意に低かった。
・人生の目的とうつ病および不安症との加重エフェクトサイズの平均値は以下のとおりであった。
 【うつ病】r=-0.49、95%信頼区間(CI):-0.52~-0.45、p<0.001
 【不安症】r=-0.36、95%CI:-0.40~-0.32、p<0.001
・人生の目的とメンタルヘルスとの関連性は、とくに不安症との関連において、臨床集団のほうが強かった。
・目的と精神病理との関係において、アプローチの欠如や回避動機が役割を果たしていると考えられ、目的が大きくなるほど回避傾向が制限され、うつ病や不安症への影響が軽減される可能性がある。
・うつ病や不安症における人生の目的の役割を理解することは、これら疾患の概念に新たな気づきを与え、治療アウトカムの改善に役立つ可能性がある。

(鷹野 敦夫)