肺がん骨転移へのゾレドロン酸8週ごと投与/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/31

 

 肺がん骨転移に対するゾレドロン酸8週ごと投与の結果を、第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、大阪国際がんセンターの田宮 基裕氏が発表した。

 ゾレドロン酸は、固形がんのがん骨関連事象(SRE)や症状緩和には欠かせない薬剤である。一方、顎骨壊死などの重篤な有害事象の発現リスクも見逃せない。そのため、投与間隔の長短による、有効性と安全性の違いが研究されている。田宮氏が発表した無作為化オープンラベル第II相試験(Hanshin Cancer Group0312)は、添付文書の用法である3〜4週ごとと、8週ごとを比較したもの。

対象:骨転移を有しゾレドロン酸の4週ごと投与を2サイクル受けた肺がん患者
試験群:ゾレドロン酸8週ごと1年間投与(8wk-ZA群)
対照群:同 4週ごと1年間投与(4wk-ZA群)
評価項目:
[主要評価項目]初回SRE発現までの時間、1年時点のSRE発現割合
[副次評価項目]6ヵ月時点のSRE発現割合、疼痛評価スケール、骨代謝マーカーI型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTx)と投与期間の関係、鎮痛薬消費量の変化、毒性、全生存率など

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は、4wk-ZA群51例、8wk-ZA群43例であった
・初回SRE発現までの時間を見た6ヵ月時点の無イベント率(EFR)は、4wk-ZA群86.3%、8wk-ZA群82.4%であった(p=0.715)。
・1年時点の累積SRE発現割合は4wk-ZA群17.6%、8wk-ZA群は23.3%であった(p=0.608)。
・疼痛スコア(NRT)のベースラインからの変化は、4wk-ZA群では有意な変化はなかった。8wk-ZAa群では4週時点でベースラインにより改善したが、40週時点では悪化した。
・NTxは両群ともベースラインからの有意な変化はなかった。
・有害事象の多くは、がん治療に付随するものか、がんの合併症であった。顎骨壊死は4wk-ZA群で1例発現し、8wk-ZA群での発現は認めなかった。

 田宮氏は「骨転移のある肺がんにおいて、ゾレドロン酸の8週ごと投与は、標準療法である4週ごと投与に比べ、SREの発現を増やさなかった。転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)治療では、生存の長期化とQOLの改善が続いているため、骨修飾薬の減量レジメンの評価は、効果と安全性を長期間見るべきである」と述べている。

(ケアネット 細田 雅之)