既治療のNSCLCに対するアテゾリズマブ単剤のリアルワールドデータ(J-TAIL)/日本肺癌学会2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/06

 

 既治療の切除不能非小細胞肺がん(NSCLC)に対するアテゾリズマブの単剤療法は、実臨床においても開発治験と同様の臨床効果を示すことが明らかとなった。

 既治療の切除不能NSCLCにおいて、ドセタキセルに対し優越性を示したOAK試験の結果に基づき、アテゾリズマブの単剤療法は2次治療以降の治療選択肢となっている。しかし、開発治験における日本人データは限定されており、日常臨床での再現性は明らかではない。

 そこで、日本の実臨床における同レジメンの安全性と有効性を検討する前向き試験J-TAILが行われている。第63回日本肺癌学会学術集会では、松坂市民病院の畑地治氏がJ-TAIL試験の最終解析を発表した。

 対象はわが国の169施設で登録され、2次治療以降にアテゾリズマブを投与された切除不能NSCLC患者1,000例超。主要評価項目は18ヵ月生存(OS)率、副次評価項目にはOS、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、安全性などが設定された。AOK試験の適格患者(OAK-like)と非適格患者(OAK-unlike)に分けて解析している。

 主な結果は以下のとおり。

・全体で1,039例が登録され、安全性解析対象は1,002例、有効性解析対象(FAS)は1,000例であった。
・登録患者にはPS2(10.7%)、PS3/4(1.4%)といった開発治験除外症例も含まれ、喫煙歴ありも75.6%含まれた。
・主要評価項目である18ヵ月OS率は41.1%で、OAK試験の40.0%と同等の成績であった。
・OS中央値はFAS全体で13.0ヵ月、OAK-like患者では17.7ヵ月、OAK-unlike患者では11.1ヵ月で、OAK-likeが最も良好であった。
・PFS中央値はFAS全体で2.1%、OAK-like患者では2.6ヵ月、OAK-unlike患者では2.1ヵ月であった。
・PD-L1発現と予後の関係をみると、OAK-like患者ではOS、PFSともPD-L1高発現で延長していたが、OAK-unlike患者ではPD-L1発現レベルとの関連は見られなかった。
・ORRはFAS全体で8.8%、OAK-like患者では10.9%、OAK-unlike患者では7.5%で、OAK-likeが最も良好であった。
・Grade3/4の有害事象(AE)は18.0%、Grade3/4の免疫関連AEは7.4%で報告されている。

 アテゾリズマブ単剤によるNSCLCの2次治療は、実臨床でもOAK試験と遜色ない結果を示した。しかし、OAK-likeとOAK-unlike患者で予後は異なる傾向であった。また、OAK-unlikeにおいてはPD-L1発現と予後の間に関連は示されていない。

(ケアネット 細田 雅之)

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