老後の一人暮らしと認知症リスク

提供元:ケアネット

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公開日:2022/11/03

 

 米国・イリノイ大学シカゴ校のBenjamin A. Shaw氏らは、老後の一人暮らしと認知症発症との関連性を調査した。これまでの多くの研究では、単一の時点で得られた一人暮らしに関するデータを利用して検証されていたが、著者らは、高齢者の一人暮らしの状況を長期的に測定し、一人暮らしの期間が長いほど認知症発症リスクが高いかどうかを評価した。その結果、老後の一人暮らしは認知症の重大なリスク因子であるが、この影響はすぐに現れるわけではなく、時間とともに上昇する可能性があることが示唆された。The Journals of Gerontology誌オンライン版2022年9月30日号の報告。

 分析データは、フォローアップ期間2000~18年の健康と退職に関する調査(Health and Retirement Study:HRS)より収集した。高齢者1万8,171人のフォローアップデータより得られた7万8,490人時期のデータは、マルチレベルロジスティックモデルを用いて分析した。一人暮らしの定義は、回答時の世帯人数が1である場合とした。累積一人暮らし期間は、世帯人数1がカウントされている期間で算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・男性では、認知症リスクと一人暮らしとの関連は認められず、女性では、逆相関が認められた。
・対照的に、累積一人暮らし期間が1期間増加するごとに、男女とも約10%の認知症リスク上昇(男性OR:1.111、女性OR:1.088)が確認された(婚姻状況、年齢、社会活動、社会的支援などいくつかの共変量で調整)。

(鷹野 敦夫)