双極性障害外来患者の雇用状況と不安定な期間の関係~MUSUBI研究

提供元:ケアネット

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公開日:2022/05/09

 

 産業医科大学の池ノ内 篤子氏らは、双極性障害外来患者における不安定な期間の長さと雇用状況との関連を調査した。その結果、不安定な期間が長い双極性障害患者では、失業リスクが高いことが示唆された。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年4月8日号の報告。

 2016年9~10月に日本精神神経科診療所協会に所属する会員のクリニック176施設を受診した双極性障害外来患者を対象に、医療記録を調査した。医療や雇用に関する詳細データを収集するため、質問票を用いた。不安定な期間の長さと失業のオッズ比(OR)は、ロジスティック回帰モデルを用いて分析した。不安定な期間の長さは、短期(1年の1~33%)、中期(34~66%)、長期(67~100%)に分類し、評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者816例のうち、フルタイムで継続雇用されていた患者は707例、失業していた患者は70例であった。
・単変量分析によるORは、不安定な期間が長期であった患者で有意な差が認められたが、短期および中期の患者では有意な差は認められなかった。
 【長期】OR:10.4、95%CI:4.48~24.28、p<0.001
 【中期】OR:1.65、95%CI:0.73~3.74、p=0.231
 【短期】OR:1.06、95%CI:0.56~1.98、p=0.849
・多変量解析によるORも同様の結果であった。
 【長期】OR:12.1、95%CI:4.37~33.3、p<0.001
 【中期】OR:1.62、95%CI:0.66~3.98、p=0.290
 【短期】OR:1.07、95%CI:0.55~2.07、p=0.846

(鷹野 敦夫)