EGFR陽性肺がんに対するamivantamab+lazertinibの成績(CHRYSALIS)/ESMO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/19

 

 韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏は進行期EGFR変異陽性NSCLCに対するEGFRとMETの二重特異性抗体amivantamab(開発コード:JNJ-61186372)と第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用療法の第I相CHRYSALIS試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)で発表。この併用療法は安全性が高く、EGFR-TKIオシメルチニブによる再発した患者にも有効であると報告した。

amivantamabとlazertinib併用療法の未治療群でのORRは100%

 amivantamabはEGFRとMETを標的とする完全ヒト二重特異性抗体で、米FDAからEGFR陽性NSCLCのexon20挿入変異に対するブレークスルーセラピー指定を受けており、lazertinibは第1/2世代EGFR-TKIの獲得耐性であるT790Mへも有効であることが報告されている。CHRYSALIS試験は漸増コホートと拡大コホートの2つから構成されている。

・対象:転移を有するEGFR変異陽性NSCLC(exon19delまたはL858R)
・介入:
[用量漸増コホート]amivantamab(700mg/1,050mgから1,050/1,400mgへ増量)+lazertinib 240mg/日
 用量漸増パートの結果から、amivantamabの第II相推奨用量を1,050mg(80kg未満)および1,400mg(80kg以上)、lazertinibは240mgと決定。
[拡大コホート]オシメルチニブ耐性・化学療法未治療群(45例)、未治療群(20例)に上記推奨用量を投与

 amivantamabとlazertinibの併用療法を検証した主な結果は以下のとおり。

・用量制限毒性はなかった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)発現率は11%。どちらかあるいは両剤の治療中止に至ったTRAEは6%であった。
・オシメルチニブ耐性・化学療法未治療患者群での客観的奏効率(ORR)は36%、臨床有効率は60%であった。
・未治療群でのORRは100%で、全員が部分奏効であった。
・未治療群の奏効期間中央値は未達(NE)であった。

 Cho氏は「amivantamabとlazertinib併用療法は安全性が高く、進行EGFR陽性NSCLCに対して効果的である」との見解を示した。また、現在オシメルチニブ・化学療法抵抗性のEGFR陽性NSCLCを対象とした第II相試験「CHRYSALIS-2試験」、EGFR陽性NSCLCに対する1次治療としてこのamivantamabとlazertinib併用療法とオシメルチニブ単独療法、lazertinib単独療法の3群比較を行う第III相試験「MARIPOSA試験」がスタートしたことを明らかにした。

(ケアネット)