コロナ禍の医療者への不当な扱い、励ましの実態とは/医師500人の回答結果

提供元:ケアネット

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公開日:2020/10/16

 

 ケアネットと病院経営支援システムを開発・提供するメディカル・データ・ビジョン株式会社(以下、MDV)は、医師・病院関係者が新型コロナウイルス感染症に対応する中で、どのような体験をしたかを調べる共同調査を実施した。その結果、医師・病院関係者の子どもが登園・登校を控えるよう要請されるなど誤解や過剰反応からの体験があった半面、地域住民や企業からの応援メッセージが届き、励まされるなどの体験が倍以上あったことが明らかとなった。

励ましが差別や不当な扱いを大幅に上回る

 この調査はWEBを通じて実施し、ケアネットは会員医師511人(アンケート期間:9月30日のみ)、MDVは110病院(同:9月30日~10月7日)から回答を得た。

 「コロナ禍の下でどのような体験をされましたか」という質問について、ケアネット会員医師は、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が7.4%(38人)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が27.6%(141人)、「とくになし」が66.3%(339人)だった。差別や不当な扱いと感じる体験をした方の内訳は、本人が6.7%(34人)、家族が2.2%(11人)で、本人・家族いずれもと回答したのは6人(1.1%)だった。また、自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。

・実際には(PCR検査)陰性だったが、あたかもコロナに感染したかのような扱いを受けた
・医療関係者かどうかを尋ねられた
・アルバイト先から出勤を断られかけた
・発熱外来をやるといったら、秘書が近寄らなくなった。1週間放置された
・近所、子供の学校の先生に疎んじられた
・国内での流行期前に海外渡航していたために職場で不当な差別をされた

 「周囲から励まされるなどの体験をした」と回答した方は、本人が24%(123人)、家族が2.9%(15人)で、本人・家族いずれもと回答したのは2.3%(12人)だった。自由記述で聞いた体験内容は以下のとおり。

・タクシー運転手に励まされた
・医療に携わり、この時期大変ですねぇと励まされました
・往診中にご苦労様と見知らぬ方より挨拶あり
・外来の患者さんから声をかけられ、差し入れをもらうようになりました
・患者から体調を気遣われた
・患者さんからの感謝状
・企業からの飲料水や消毒用具等の提供があった
・地域の小学校、会社などから救急医療へのエールが届いた

病院関係者向け調査では半数以上が励ましを受けていた

 MDVが行った病院関係者(本人、家族、同僚含む)向けアンケートでも同様の質問を行ったところ、「差別や不当な扱いと感じる体験をした」が24.5%(27施設)、「周囲から励まされるなどの体験をした」が51.8%(57施設)、「とくになし」が38.2%(42施設)、その他が9.1%(10施設)だった。また、差別や不当な扱いと感じる体験を自由記述で聞いたところ、「看護師の子どもさんが保育園から預かりを拒否された」「親が医療関係者なので飲食関係のアルバイトのシフトから外された」「配偶者が出勤停止となった」「病院の職員でなくてよかったなどの言葉が聞こえてきた」といった声があった。

 また、「周囲から励まされるなどの体験をした」の自由記述の回答では、地域住民や企業からの激励のメッセージや寄付などが相次いでいることも明らかになった。

(ケアネット 土井 舞子)