パチシラン継続投与でTTR型FAPの症状が改善/アルナイラム

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/10

 

 アルナイラム社は、欧州神経学会バーチャル会議2020でトランスサイレチン(TTR)型家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)のRNAi治療薬パチシラン(商品名:オンパットロ)の国際共同試験の長期結果と同所性肝移植後に病状が進行した患者を対象とした治療の中間データを発表した。

 TTR型家族性アミロイドポリニューロパチーは、TTR遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患で、患者数は全世界で約5万人と推定される。障害発生率と死亡率はきわめて高く、診断からの生存期間の中央値は4.7年、心筋症を発症した患者では3.4年とさらに短くなる。

 オープンラベル継続投与(OLE)国際共同試験では、パチシランを24ヵ月間継続および追加投与したところ、ポリニューロパチーの症状およびQOLの改善が維持されたことが報告された。2020年3月の時点で、OLE国際共同試験に継続登録された13例の患者は6年以上パチシランによる治療を継続し、RNAi治療の臨床経験としては最長の結果が得られているという。

 また、同所性肝移植後の患者を対象とした試験の中間データでは、これら患者団においてもTTRノックダウンが示され、パチシラン治療が広範な患者にベネフィットをもたらす可能性が示唆された。

24ヵ月継続でニューロパチーの進行を抑止

 現在進行中のパチシランの長期有効性および安全性を評価するOLE国際共同試験は、適格とされた患者(n=211)で行われており、パチシランを42ヵ月間継続投与された患者では、補正神経障害スコアが+7(mNIS+7)スコアおよびNorfolk QOL-糖尿病性ニューロパチー(QOL-DN)スコアともに低下するなど、第III相試験のベースラインと比較してニューロパチー障害およびQOLの改善が維持された。また、第III相試験でプラセボ投与後に、OLE試験でパチシランを24ヵ月間投与された患者では、ニューロパチーの進行に対する顕著な抑止効果とQOLの改善が認められた。

同所性肝移植後に病状が進行した患者でも血清TTR値を低下

 欧州で行われている同所性肝移植(OLT)後に病状が進行したTTR型家族性アミロイドポリニューロパチー患者を対象にしたパチシランの安全性、有効性、および薬物動態(PK)を評価する第IIIb相オープンラベル試験の中間解析データも発表された。この試験は、OLT後に疾患進行した(多発神経障害性能力障害[PND]スコアに基づく)23例の患者に、パチシラン点滴静注(0.3mg/kg)を3週間ごとに投与したもの。パチシラン投与3週間後の血清TTR値のベースラインからの平均低下率は81.9%だった。中間安全性解析時(2019年12月9日時点のカットオフ)のパチシランの安全性プロファイルは、第III相試験で認められ、報告された安全性プロファイルと一貫していた。OLT 後のパチシラン投与の安全性、有効性、およびPKは、進行中の本試験で引き続き検討されるという。

パチシランの特徴

 パチシランは、遺伝性ATTRアミロイドーシスを適応として承認されたRNAi治療薬で、わが国ではTTR型家族性アミロイドポリニューロパチーを適応症に承認されている。同治療薬は、原因となるTTRを標的とし、TTRメッセンジャーRNAを分解し、TTRタンパク質が作られる前にその産生を阻害するように設計されている。肝臓でのTTRの産生を阻害し、体内組織でのTTRの蓄積を減少させることで、本疾患に伴うポリニューロパチーの進行を停止または遅延させる働きを持つ。

 点滴薬のため潮紅、背部痛、悪心などのインフュージョン・リアクションが認められ、副作用としては上気道感染などが報告されているほか、治療ではビタミンAの補充も推奨されている。

(ケアネット 稲川 進)

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