統合失調症と気分障害の死亡率、高いのは

提供元:ケアネット

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公開日:2017/05/30

 

 精神疾患患者は、重大な公衆衛生上の懸念である過剰な死亡率を示す。韓国・延世大学校のWoorim Kim氏らは、統合失調症、気分障害、精神活性物質使用による精神的および行動的障害と診断された韓国人患者の全死因および自殺死亡率を調査し、これを一般人と比較した。Journal of Korean medical science誌2017年5月号の報告。

 対象は、2002~13年の韓国National Health Insuranceコホートより得られた15歳以上の10万7,190例。10万人年当たりの死亡率を算出した。全死因および自殺死亡リスクに対するベースライン特性の影響を定量化するために、ポアソン回帰モデルを用いた。標準化死亡率(SMR)も算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・全死因では、精神的および行動的障害の患者で最も高く(10万人年当たり1051.0)、次いで統合失調症患者(10万人年当たり949.1)、気分障害患者(10万人年当たり559.5)であった。
・自殺死亡では、統合失調症患者で最も高く(10万人年当たり177.2)、次いで精神的および行動的障害の患者(10万人年当たり143.7)、気分障害患者(10万人年当たり59.7)であった。
・全死因および自殺死亡率に対する率比(RR)は、若者および女性で低下した。
・精神疾患患者は、一般集団よりも全死因死亡率が高かった(統合失調症SMR:2.4、95%信頼区間[CI]:2.2~2.5。気分障害SMR:1.4、95%CI:1.3~1.5。精神的および行動的障害SMR:2.6、95%CI:2.5~2.8)。
・精神疾患患者は、一般集団よりも自殺死亡率が高かった(統合失調症SMR:8.4、95%CI:7.2~9.6。気分障害SMR:2.8、95%CI:2.1~3.5。精神的および行動的障害SMR:6.8、95%CI:5.7~7.9)。

 著者らは「これらの知見より、精神疾患における過剰死亡率を減少させる努力がなされるべきである」としている。

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(鷹野 敦夫)