多枝病変STEMIには完全血行再建か、責任病変のみか

提供元:ケアネット

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公開日:2017/03/10

 

 近年のランダム化研究では、プライマリPCIでの完全血行再建が多枝病変の予後の改善につながることが示唆されている。しかしながら、非責任病変に対するPCIのタイミングについてははっきりとした答えが出ていない。そこで、米国のElgendy氏およびMahmoud氏らが、多枝病変を伴うST上昇心筋梗塞に対するPCIにおいて、どのような戦略が有効かを検証するメタアナリシスを行った。Journal of the American College of Cardiology誌2017年2月号に掲載。

ランダム化試験のメタアナリシスで4つの再灌流療法を比較

 本研究は、ST上昇心筋梗塞で来院し、多枝病変を伴った患者を4つの異なる再灌流戦略(初回PCIでの完全血行再建、入院中の段階的PCIによる完全血行再建、退院後の段階的PCIによる完全血行再建、責任病変のみの血行再建)のいずれかに割り付けたランダム化試験を対象とし、ランダム効果モデルによるリスク比(RR)を検討した。さらに、混合治療比較モデルを用いたネットワークメタアナリシスを作成し、4つの再灌流療法の比較を行った。

 本研究では、10試験の2,285例が組み込まれた。メタアナリシスでは、完全血行再建(初回もしくは段階的PCIによる)が主要有害心イベント(MACE)リスクの低下と関係していた(RR:0.57、95%信頼区間[CI]:0.42~0.77)。リスクの低下は主に緊急再灌流療法の減少(RR:0.44、95%CI:0.30~0.66)によるものであった。全死亡(RR:0.76、95%CI:0.52~1.12)と再梗塞(RR:0.54、95%CI:0.23~1.27)については、差が認められなかった。混合治療モデルの解析では、MACEのリスクの減少は非責任病変の再灌流を行った群で、そのタイミングに関係なく認められた。

完全な血行再建は緊急再灌流療法およびMACEの減少につながる

 ランダム化試験に基づく最新のエビデンスによると、多枝病変に対する再灌流療法を行うタイミングが違っても、全死亡と再梗塞で違いは認められなかった。多枝病変に対する初回もしくは段階的PCI(入院中、退院後にかかわらず)での完全血行再建は、緊急再灌流療法を減少させ、それがMACEの減少につながっており、また、これら3つの治療戦略(責任病変と同時に行うPCI、段階的に入院中に行うPCI、退院後に行うPCI)の間で違いは認められなかった。著者らは、全死亡と再梗塞のリスクに対する完全血行再建の効果を調べるには、さらなる研究が必要としている。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)