せん妄に対するリスペリドン vs. ハロペリドール vs.プラセボ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/01/11

 

 せん妄症状に苦慮している患者に対し抗精神病薬が使用されているが、緩和ケアにおけるプラセボ対象試験では、その有効性は確立されていない。オーストラリア・フリンダーズ大学のMeera R Agar氏らは、緩和ケア患者のせん妄症状緩和に対するプラセボまたはリスペリドン、ハロペリドールの有効性を検討した。JAMA internal medicine誌2017年1月号の報告。

リスペリドン、ハロペリドール、プラセボをせん妄患者に投与

 本検討は、2008年8月13日~2014年4月2日の間、オーストラリアの入院施設または病院緩和ケアサービス11件で行われた二重盲検並行群間用量漸増無作為化臨床試験。対象患者は、生命を脅かす疾患でせん妄を有し、せん妄症状スコア(Nursing Delirium Screening Scaleの行動、コミュニケーション、知覚項目の合計)が1以上とした。せん妄症状に基づき、年齢で調整したリスペリドン、ハロペリドール、プラセボ内用液剤を12時間ごとに72時間、漸増用量にて投与した。対象患者には、重度の苦痛や安全のために必要とされるサポーティブケア、せん妄の鎮静に対する個別治療、ミダゾラム皮下投与を行った。主要アウトカムは、ベースラインと3日目のせん妄症状スコア(重症度範囲:0~6)の平均群間差の改善とした。副次的アウトカムは、せん妄の重症度、ミダゾラム使用、錐体外路系作用、鎮静、生存とした。

 リスペリドン、ハロペリドールおよびプラセボのせん妄症状緩和に対する有効性を検討した主な結果は以下のとおり。

・247例(平均年齢:74.9歳[SD:9.8]、女性85例[34.4%]、がん患者218例[88.3%])がintention to treat(ITT)解析に含まれた(リスペリドン群:82例、ハロペリドール群:81例、プラセボ群84例)。
・主要ITT解析では、リスペリドン群は、プラセボ群と比較し、試験終了時のせん妄症状スコアが有意に高かった(平均0.48高ユニット、95%CI:0.09~0.86、p=0.02)。
・同様に、ハロペリドール群は、プラセボ群と比較し、せん妄症状スコアが平均0.24高ユニットであった(95%CI:0.06~0.42、p=0.009)。
・リスペリドン群、ハロペリドール群共に、プラセボ群と比較し、錐体外路系作用がより多かった(リスペリドン群:0.73、95%CI:0.09~1.37、p=0.03、ハロペリドール群:0.79、95%CI:0.17~1.41、p=0.01)。
・プラセボ群は、ハロペリドール群と比較し、より良好な生存期間を示したが(HR:1.73、95%CI:1.20~2.50、p=0.003)、プラセボ群とリスペリドン群に差はなかった(HR:1.29、95%CI:0.91~1.84、p=0.14)。

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