アトピー性皮膚炎にはやはりステロイド外用薬か

提供元:ケアネット

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公開日:2016/06/10

 

 アトピー性皮膚炎の治療において、カルシニューリン阻害外用薬はステロイド外用薬の代替となり得るが、コストが高く、皮膚熱感およびそう痒感などの有害事象が多い。オーストラリア・Royal North Shore HospitalのJoris A. Broeders氏らが、システマティックレビューとメタ解析を行い明らかにした。著者は、「アトピー性皮膚炎には、ステロイド外用薬が推奨されることをエビデンスレベル-1aで支持する結果である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年5月11日号の掲載報告。

 研究グループは、アトピー性皮膚炎の治療におけるカルシニューリン阻害外用薬とステロイド外用薬の有効性および有害事象を比較する目的で、4つのデータベース(MEDLINE 、EMBASE、Cochrane Library、Web of KnowledgSe Conference Proceedings Citation Indexe-Science)を用い、小児および成人患者において両薬剤を比較した無作為化試験を検索した。

 方法論的な質は、バイアス・リスクの評価により行い、臨床転帰とコストを比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・無作為比較試験12件(カルシニューリン阻害外用薬3,492例 vs.ステロイド外用薬3,462例)が組み込まれた。
・カルシニューリン阻害外用薬とステロイド外用薬の有効性は、同等であった。
  改善率:81% vs.71%、リスク比(RR):1.18(95%信頼区間[CI]:1.04~1.34)、p=0.01。
  治療成功率:72% vs.68%、RR:1.15(95%CI:1.00~1.31)、p=0.04。
・カルシニューリン阻害外用薬はステロイド外用薬より有害事象が多かった。
  有害事象発現率:74% vs.64%、RR:1.28(95%CI:1.05~1.58)、p=0.02。
  皮膚熱感:30% vs.9%、RR:3.27(95%CI:2.48~4.31)、p<0.00001。
  そう痒感:12% vs.8%、RR:1.49(95%CI:1.24~1.79)、p<0.00001。
 ただし、萎縮、皮膚感染、重篤または投与中止を要する有害事象の発現に差はなかった。
・コストについて報告した試験は少数であったが、カルシニューリン阻害外用薬はコストが高いことが示唆された。

(ケアネット)