日本人アルツハイマー病、BPSDと睡眠障害との関連は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/04/08 アルツハイマー病(AD)における睡眠障害はBPSD(認知症の行動と心理症状)に影響を与える可能性がある。大阪大学保健センターの壁下 康信氏らは、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を検討した。その結果、非常に初期のAD患者において、睡眠障害とBPSDとの強い関連が認められたことを報告した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2016年3月21日号の報告。 本調査は、日本における多施設レトロスペクティブ研究(J-BIRD)の一部である。分析対象は、AD患者684例。認知症のグローバル重症度は、臨床的認知症評価尺度(CDR)を用いて推定した。BPSDは、NPI(Neuropsychiatric Inventory)を用いて評価した。CDRのスコアに応じ、ADの異なるステージにおける、睡眠障害とBPSDとの関連を分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・684例中146例(21.3%)は睡眠障害を有していた。 ・睡眠障害を有する非常に初期のAD患者(CDR:0.5)では、睡眠障害のない患者と比較し、BPSDが有意に多かった。なかでも、不安、多幸感、脱抑制、異常運動行動のNPI4項目の有病率が高かった。 ・中等度のAD患者(CDR:2)では、過敏性の1項目のみが影響を受けていた。軽度AD(CDR:1)高度AD(CDR:3)では、いずれも影響を受けなかった。 ・重回帰分析は、さまざまなCDRスコアを有するAD患者で実施した。 ・非常に初期のAD患者では、睡眠障害の存在は高い総NPIスコアと関連していた(β=0.32、p<0.001)。 ・しかし、認知機能低下、年齢、性別、教育年数を含む他の要因は、NPIスコアとの有意な関連は認められなかった。 ・軽度または中等度のAD患者では、BPSDと有意に関連する要因はなかった。 関連医療ニュース 日本人高齢者、運動でアルツハイマー病リスク軽減:九州大学 認知症者の向精神薬使用実態と精神症状発現状況 アルツハイマー病へのBZD、使用頻度の追跡調査 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kabeshita Y, et al. Int J Geriatr Psychiatry. 2016 Mar 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 新たな認知症評価尺度ABC認知症スケールの妥当性 医療一般 日本発エビデンス(2021/03/16) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ(2024/05/02) 小児~成人期のnon-HDL-C高値、中年期の心血管イベントと関連/JAMA(2024/05/02) 境界性パーソナリティ障害と統合失調症の幻聴の違い~システマティックレビュー(2024/05/02) 医師の共感スキルが高いほど患者の腰痛が改善(2024/05/02) 習慣的な運動が不眠症症状を抑制(2024/05/02) 遊びや社会的な活動は犬の脳機能の維持に役立つ(2024/05/02) 腸内での酪酸産生菌の増加は感染症リスクの低下と関連(2024/05/02) 妊娠中のナッツ摂取が子どもの「仲間関係の問題」を予防?(2024/05/02) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経(2021/04/20) 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15)