夏でもドライアイ…治療薬の使い分けは?

提供元:ケアネット

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公開日:2015/07/13

 

 本サイトをご覧になっている方の中にも、目がしぱしぱする、乾き気味で憂鬱……と思われる方がいるかもしれない。現代病でもあるドライアイ、症状がひどくなると気分も沈むだけでなく、労働生産性も低下する。これは1年間に3日欠勤したのと同程度の生産性低下に相当するという。ドライアイの悪化を防ぐためには、どうすればよいだろうか?先月15日、都内にてドライアイに関するセミナー(主催:日本アルコン株式会社)が行われた。

ドライアイは原因別に2種類存在

 ドライアイが起こる原因は、主に2種類ある。
・涙の分泌量の減少:さまざまなリスク因子(加齢、性別、既往歴)・免疫疾患(シェーグレン症候群)など
・涙の蒸発量の増加:涙中の油の出口が閉塞(マイボーム腺機能不全)、環境因子(パソコン、エアコン、コンタクトレンズの着用)など

 このうち、近年注目されてきているのは環境因子、その中でもコンタクトレンズの着用による涙の蒸発の増加によるドライアイである。

コンタクトレンズの着用でドライアイが起こるメカニズム

 コンタクトレンズにはハードコンタクトレンズ・ソフトコンタクトレンズの2種類がある。これらの着用でドライアイが起きる原因は、それぞれ「涙液層の破壊(以下、ブレイクアップ)による角膜の露出」と「まばたきによる摩擦増加」で説明することができる。

・ハードコンタクトレンズによるドライアイ
レンズが水を含まない素材でできているため、レンズは涙の上に浮く。涙は毛細管現象によりレンズの下側に引き寄せられ、目の表面の涙の層が薄くなり、ブレイクアップが生じる。ブレイクアップ部分の角膜に傷が付くことでドライアイが生じる。
・ソフトコンタクトレンズによるドライアイ
レンズが水を含む素材でできているため、レンズは涙の中に沈む。すると、涙がレンズに引き込まれることで量が減り、レンズの表面が露出する。その結果、レンズの縁と角膜が摩擦を生じ、傷が付くことでドライアイを生じる。

 これらの要因に乾燥など外的要因が加わり、さらに悪化することがあるという。

ドライアイをひどくしないための対策5つ


 ドライアイの悪化を防ぐためには、以下の対策が考えられるという。
(1)パソコンの画面を目線より低くし、目の露出範囲を減らす
(2)エアコンの風を目に受けない
(3)コンタクトレンズの着用方法・時間を守り、正しく使用する
(4)空気の乾燥を防ぐ
(5)ドライアイ用の保湿眼鏡を使用する

 患者のライフスタイルに合わせて、これらの方法を取り入れてみるよう助言してみてはいかがだろうか。

原因に応じた治療薬選択を

 それでもドライアイがひどいようであれば、我慢せずに治療を行うことも検討する。現在、ドライアイの治療薬は主に5種類発売されている。
(1)人工涙液:水分を補う
(2)ヒアルロン酸:水分の蒸発を防ぐ
(3)ステロイド:抗炎症作用
(4)ジクアホソルナトリウム:ムチン分泌作用
(5)レバミピド:角膜のムチン産生を促す作用

 その薬理作用から、ブレイクアップに効くのはジクアホソルナトリウム、摩擦を減らすのはレバミピドである。たとえば、ソフトコンタクトレンズによるドライアイが生じた際は、人工涙液とレバミピドを組み合わせるなど、薬理作用と涙液層を考慮した治療をしていくことが求められる。

 演者の横井 則彦氏(京都府立医科大学医学部 眼科学教室 准教授)は、「涙液層別の治療薬を選択することに加えて、自分に合ったコンタクトレンズ選びも大切である。現在はさまざまな選択肢があるため、レンズ自体の変更も考慮することが必要である」と述べ、セミナーを結んだ。

(ケアネット 中野敬子)