TA錠、抑うつと腰痛の両方に効果

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/02/27

 

 トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠(トラマドール・アセトアミノフェン、商品名:トラムセット)は現在、腰椎変性疾患を含む慢性疼痛の治療に汎用されている。岡山大学の鉄永 倫子氏らは、抑うつ傾向にある慢性腰痛患者に対する治療効果を非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と比較検討した。その結果、トラマドール・アセトアミノフェンのほうが腰痛軽減に効果があり、予防的な抗うつ効果も示唆される結果が得られたことを報告した。Journal of Orthopaedic Science誌オンライン版2015年2月3日号の掲載報告。

 研究グループは、抑うつ傾向にある慢性腰痛患者に対するトラマドール・アセトアミノフェンの有効性を前向きに検討する目的で、慢性腰痛患者95例のうち自己評価抑うつ尺度(self-rating depression scale:SDS)により抑うつ性ありと認められた70例(男性26例、女性44例、平均年齢64歳)を、トラマドール・アセトアミノフェン群(以下トラマドール群、35例)またはNSAIDs群(35例)に無作為に割り付けて8週間の治療を行ったた。

 評価項目は、疼痛(数値的評価スケール:NRS)、オスウェストリー障害指数(ODI)、疼痛生活障害評価尺度(Pain Disability Assessment Scale:PDAS)、Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)、SDS、疼痛破局的思考尺度(Pain Catastrophizing Scale:PCS)であった。

 主な結果は以下のとおり。

・8週後のNRSおよびSDSは、NSAIDs群よりトラマドール群で有意に低かった(p<0.05)
・ODI、PDASおよびPCSは、両群間で有意差はなかった(それぞれp=0.47、0.09、0.47)。
・HADSの不安スコアは両群間で差はなかったが(p=0.36)、HADSの抑うつスコアはNSAIDs群よりトラマドール群で有意に低かった(p<0.05)。
・治療関連有害事象の発現率は、両群で同程度であった。

(ケアネット)