ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/12

 

 統合失調症はビタミンD欠乏と強く関連していることが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかにされた。統合失調症患者の65.3%でビタミンD欠乏が認められること、ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して統合失調症である可能性が2.16倍高かったことを、イラン・エスファハーン医科大学のGhazaleh Valipour氏らが報告した。これまでに観察研究においてビタミンDの状態と統合失調症との関連が検討されているが、包括的なメタ解析は把握されていなかった。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。

 研究グループは、観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、血清ビタミンD濃度と統合失調症に関連する適用可能なデータをまとめた。2013年10月までに発表されたすべての公表記事をPubMed、ISI(Web of science)、SCOPUSおよびGoogle Scholarを用いて系統的に検索。統合失調症患者の血清ビタミンD濃度を測定した観察研究すべてについてシステマティックレビューを行った。除外基準を考慮した結果、19件の研究についてシステマティックレビューを行い、(1)25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の平均濃度(13件)、(2)ビタミンD欠乏の頻度(8件)、(3)オッズ比(8件)の3つのメタ解析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・統合失調症患者とコントロール群における血清25(OH)D平均濃度の差は、-5.91ng/mL(95%信頼区間[CI]:-10.68~-1.14)であった。サブグループ解析の結果、入院状況、研究の質、研究の場所は試験間の不均一性に関連していなかった。しかし、25-ヒドロキシビタミンD3 vs 25(OH)Dを評価したバイオマーカーの種類は不均一性にある程度関連していた。
・統合失調症患者におけるビタミンD欠乏頻度は65.3%(95%CI:46.4~84.2%)であった。
・ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して、統合失調症である可能性が2.16倍(95%CI:1.32~3.56)高かった。不均一性を示すエビデンスは認められなかった。
・結果を踏まえて著者は「今回の所見を明確にするため無作為化臨床試験が求められる」とまとめている。

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(ケアネット)