がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには

提供元:ケアネット

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公開日:2014/06/10

 

 がん患者ではうつ病を併発することも少なくない。診療ガイドラインでは、がん患者のうつ病に対する認識の改善や迅速かつ適切な管理のために、体系的なスクリーニングを推奨している。台湾・E-Da HospitalのChun-Hsien Tu氏らは、構造化されたツールを使用して、がん入院患者のうつ病をスクリーニングし、その適用性を探索した。Psycho-oncology誌オンライン版2014年5月6日号の報告。

 対象はがん入院患者。まず、Taiwanese Depression Questionnaire(TDQ)を使用し看護師によるスクリーニングを行った。その後、陽性患者に対し、精神科医による臨床評価と診断を任意で行った。この2段階の手順を完了した患者を分析サンプルとした。

 主な結果は以下のとおり。

・27ヵ月間で8,800例の患者をスクリーニングしたところ、1,087例が該当し、そのうち298例(27.4%)が精神科医の診断を完了した。
・診断結果は、抑うつ障害群が62.1%(185例)であった。主な疾患は、適応障害23.8%、うつ病21.5%であった。・TDQスコアの結果と、うつ病の臨床診断結果から得られる曲線下面積は0.72であった。
・うつ病の最適な診断精度のためのTDQカットオフ値は26以上であった。
・この2段階うつ病診断スクリーニングおよび診断ストラテジーは、とくにがん患者のうつ病やその他の抑うつ障害の認識を改善し、包括的ながんケアシステムにおいて日常的に活用可能な方法であると考えられる。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)