iPS研究の可能性、治療開発マップetc.~日本泌尿器科学会総会のハイライト

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/13

 

 来月4月24日より4日間、第102回日本泌尿器科学会総会(JUA)が開催されるにあたって、今月10日にプレスセミナーが開催され、学会長の筧 善行氏より企画の概要および見どころが紹介された。

社会的視点から
 わが国の高齢化率は今後50年間で急激に増加する。泌尿器がんは高齢になるほど増加すること、排尿管理を必要とする高齢者が急増すること、医師自身の高齢化も進行することから、泌尿器科医療における役割分担が変わっていくことが予想される。今回、社会的視点からの企画として、以下の講演が予定されている。
・高齢化社会における医療費増加抑制策としての個別化治療と日米の意識格差
・米国医療の光と影「患者の権利」の視点から
・待ったなしの医療制度改革、現状と展望

若手医師の研究離れをどうにかしたい
 近年、若手医師の専門医志向・研究離れが進んでいるため、研究の魅力にふれる機会として、以下の講演が企画されている。
・科学嫌いが日本を滅ぼす:「ネイチャー」「サイエンス」に何を学ぶか?
・尿路結石症研究の楽しさ、美しさを語る(仮題)
・臨床研究の道標:7つのステップで学ぶ研究デザイン
・がんの臨床研究:JCOGの歩みと今後の展望

 さらに、泌尿器科領域へのiPS研究の可能性についての講演も企画されている。
・iPS細胞から精子を作成
・iPS細胞から腎臓細胞を作成
・iPS細胞からがん細胞を殺すT細胞を作成

各疾患の治療開発マップを作成
 がん治療について、現在のがん治療は「治すこと」「救うこと」に重点が置かれているが、今後は「癒すこと」「やりすごすこと」「しのぐこと」「看取ること」が重要になってくる。泌尿器科学会では、泌尿器がんの治療開発マップを作成しており、今回の特別企画で、前立腺がん、尿路上皮がん、腎がん、精巣がんのマップについて報告される。このマップは、がんだけでなく、排尿障害、蓄尿障害についても企画されている。

高度化・高品質化する手術に対して
 現在、泌尿器がんの手術は高度化、高品質化しているが、その安全管理、危機管理について考える「泌尿器科手術の安全管理:情報の共有化を目指して」と題した特別企画が組まれている。

香川といえば・・・
 今回の会長である筧氏が香川大学所属であることから、全国の泌尿器科医から各県1名ずつを公募し、うどん早食いグランプリ「U1グランプリ」が開催される。

【第102回日本泌尿器科学会総会】
■会期:2014年4月24日(木)~27日(日)
■会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートアイランドホテル
■会長:筧 善行氏(香川大学医学部泌尿器科 教授)
■テーマ:’今日’を見つめ、’明日’を創る~良医は国を癒す~

(ケアネット 金沢 浩子)