都市部の学校において、食物アレルギーのある子どもは喘息の有病率が高いことがボストン小児病院のJames L. Friedlander氏らにより報告された。また、食物アレルギーのある子どもは喘息の有病率だけでなく、呼吸機能の低下による健康資源の利用も多かった。そして、多数の食物アレルギーを有する子どもほど、この関連は強かった。The journal of allergy and clinical immunology in practice誌2013年10月1日の掲載報告。
喘息を有する子どもの食物アレルギーの有病率は高いことが知られているが、逆に食物アレルギーと喘息の有病率との関係は、これまではっきりしていなかった。
本研究は、都市部の子どもたちのリスクファクターと喘息の有病率を評価するプロスペクティブ研究であるSchool Inner-City Asthma (SICAS)を用いて、食物アレルギーが喘息の有病率を増加させる独立したリスクファクターとなるかを検討することを目的としている。
SICASで臨床評価から喘息と診断された300人の子どもを前向きに調査した。食物アレルギーは食物摂取後1時間以内に何らかの症状がみられた場合とし、喘息有病率、呼吸機能、健康資源の利用状況を食物アレルギーのある子どもとない子どもで比較した。
主な結果は以下のとおり。
・300人の喘息を有する子どものうち73人(24%)に食物アレルギーがあり、36人(12%)は複数の食品に対する食物アレルギーがあった。
・何らかの食物アレルギーのある子どもは、入院リスクが高く(オッズ比[OR]:2.35、 95%信頼区間[Cl]:1.30~4.24、 p=0.005)、喘息管理のための薬物使用も多かった(OR:1.99、 95%Cl:1.06~3.74、 p=0.03)。
・複数の食物アレルギーのある子どもたちは、過去の入院リスク、喘息関連の入院リスク、喘息管理のための薬剤使用のリスクが独立して高く(それぞれ、OR:4.10 [95% Cl:1.47~11.45]、p=0.007、OR:3.52 [95%Cl:1.12~11.03]、p=0.03、OR:2.38 [95%Cl:1.00~5.66]、p=0.05)、医療機関の受診も有意に多かった(中央値4.5回vs 3.0回、p=0.008)。
・さらに、食物アレルギーのある子どもでは、呼吸機能も有意に低かった[%予測1秒量(% predicted FEV1 )と1秒率FEV1(1秒量)/FVC(努力性肺活量)]。
(ケアネット 鎌滝真次)