アトピー性皮膚炎と喘息との関連について、アレルゲンを多く有する子どものほうが喘息リスクが有意に高いことが明らかにされた。英国・Microsoft Research CambridgeのN. Lazic氏らが機械的に任意に抽出した2つの出生コホートを分析して報告した。従来定義の小児アトピー性皮膚炎患児のうち、喘息リスクが高いと判明したのは、3分の1以下であったという。アトピー性皮膚炎は喘息との関連が強いリスク因子の一つだが、その関連性はほとんど明らかになっていなかった。Lazic氏らは、アトピーといっても多様なサブタイプがあり、それぞれ喘息との関連は異なるのではないかと仮定し本検討を行った。Allergy誌2013年6月号(オンライン版2013年4月29日号)の掲載報告。
本研究は、英国の2つの異なる地域ベースの出生小児コホート(マンチェスターとワイト島)を対象に、機械学習法にて行われた。小児期および思春期を通じて実施したプリックテストとアレルゲン特異的IgE検査に基づき、教師なし学習を用いてアトピー性感作によりそれぞれクラス分類し、各群の質的特性と喘息および肺機能との関連性を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・両コホートのデータは、それぞれ5クラスに分類できた。それら分類クラスの内容は両コホートで非常に類似していた。
・非感作群と比較して、多様なアレルゲン感作を有するクラスの子どものほう(従来定義の小児アトピー性皮膚炎児の3分の1以下)が喘息を有する傾向が認められた[補正後オッズ比aOR(95%信頼区間[CI]) マンチェスター:20.1(10.9~40.2)、ワイト島:11.9(7.3~19.4)]。
・喘息と従来定義のアトピー性皮膚炎との関連は弱かった[同 マンチェスター:5.5(3.4~8.8)、ワイト島:5.8(4.1~8.3)]。
・両コホートにおいて、これらのクラスの子どもの肺機能は有意に低く(FEV1/FVC低下はマンチェスター群4.4%、ワイト島群2.6%、p<0.001)、気道感作、呼気NO値(FeNO)高値、喘息による入院が有意に多かった(p<0.001)。
(ケアネット)