抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/09 抗てんかん薬治療による脳波(EEG)改善と、注意欠陥多動性障害(ADHD)児における行動改善が高い関連を示す可能性が、山梨大学小児科助教の金村 英秋氏らによる検討の結果、報告された。ADHD児46例を対象とした検討で、34.8%にEEGの突発性異常(PA)が認められたが、そのうち62.5%がバルプロ酸ナトリウム治療後にEEGの改善を示し、前頭部PAの頻度とADHD評価スケール改善との間に高い関連性があったという。Epilepsy & Behavior誌オンライン版2013年4月17日号の掲載報告。 研究グループは、ADHDとPAの両方を有する小児における神経心理学的障害と突発性EEG異常、バルプロ酸ナトリウムによる治療との関連を調べることを目的とした。神経心理学的障害は、機能の全体的評価(GAF)とADHD評価スケール(ADHD-RS)を用いて行われた。PAについてはスパイク発生頻度を測定してスコア化された。被験者は、ADHDを有するが明らかなてんかんはみられなかった小児で、2003年4月1日~2008年3月31日の間に集められた46例を対象とした。 主な結果は以下のとおり。 ・小児の被験者46例のうち、16例でPAが認められた。そのうち3例はEEGのフォローアップが不可能となり除外された。 ・前頭部PAを有した8例のうち5例で、またローランド領域でPAを有した5例のうち3例で、バルプロ酸ナトリウム治療後にEEGが改善した。 ・両方の評価で改善を示した患者のうち、83.3%が前頭部PAを有していた患者であった一方、ローランド領域PAを有していた患者では16.7%のみであった。 ・前頭部PAを有していた患者はローランド領域PAを有していた患者と比べて、PA頻度とADHD-RSの改善に有意に高い関連がみられた。 ・ADHD患児に関する本検討において、抗てんかん薬治療によるEEG改善は、ADHD-RSおよびGAFスコアによって示される行動改善と高い関連がみられた。 ・しかし、本検討は住民ベースの研究ではなく、ADHDにPAを検出し治療することの相対的重要度については未検討のままである。 関連医療ニュース ・自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? ・ADHDに対するメチルフェニデートの評価は? ・双極性障害とADHDは密接に関連 (ケアネット) 原著論文はこちら Kanemura H et al. Epilepsy Behav. 2013 Apr 17;27(3):443-448. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25)