患者が語る病状にみる、線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違い

提供元:ケアネット

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公開日:2013/01/25

 

 スイス・ジュネーブ大学のChristine Cedraschi氏らは、患者が語る病状にみられる線維筋痛症と慢性腰痛症の特性の違いについて質的研究を行った。その結果、線維筋痛症患者の話では、高い精神的な負荷、著しい言外の暗示、理に適った問題が特徴であるのと対照的に、慢性腰痛症患者の話は、身体的なつらさや消耗、治療の無効性が強調されていたという。Pain Medicine誌2012年12月の掲載報告。

 本研究では、線維筋痛症患者がどのような痛みを有しているのかを明らかにし、診断にあたる医師がどのように理解すればよいかを目的とした。

 線維筋痛症患者と慢性腰痛症患者を対象に、準構造的なインタビューにて患者に病状を語ってもらい、その様子を録音し、テープ起こしを行い内容を解析をした(社会人口統計学的特性、疼痛持続期間について比較)。

 主な結果は以下のとおり。

・被験者は、線維筋痛症の女性患者56例と慢性腰痛症患者29例であった。
・インタビュー内容の解析は5つに分類できた(精神的な問題、身体的懸念、仕事に関する問題、診断に関する問題、慢性的であることに関連した問題)。
・線維筋痛症患者は、単発イベントおよび持続的な悩みとしての精神的な問題が際立っていた。
・身体的問題に関して、線維筋痛症患者では婦人科的なイベントへの懸念が顕著であった一方、慢性腰痛患者ではアクシデントや動作のぎこちなさ、肉体労働の状況についての懸念が際立っていた。
・両群の患者とも、疼痛の緩和については悲観的であった。
・線維筋痛症患者の診断では、主要な疾患部位が不確定であると同時に、体の至る所で痛みが伝播していることが報告されていた。
・上記の結果から、慢性かつ特異性の欠落が、治療に当たる専門家に線維筋痛症と慢性腰痛症について懐疑論をもたらしやすくしている可能性がある。
・患者の自覚症状を調査し検討することで、患者の訴えにみられる見かけ上の均一性を克服することが可能となる。それが現実性のある治療目標の設定、共有に寄与し、慢性疼痛の治療にあたる施術者を助けることにつながる。

(ケアネット)