「統合失調症リスク因子」海馬における働きが判明 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/09/25 先行研究(ヒトおよびマウスの遺伝子研究)で統合失調症との関連が示されていたG蛋白共役型受容体SREB2/GPR85について、不明であった海馬における作用が解明された。米国・ノースウエスタン大学のChen Q氏らによるマウスを用いた実験の結果、海馬の成体神経新生および神経新生に依拠する学習および記憶にネガティブに作用することが示された。この結果を踏まえて著者は「SREB2の制御は、精神疾患患者の中核症状改善への新しいアプローチとなる可能性がある」と述べている。Eur J Neurosci誌2012年9月号(オンライン版2012年6月15日号)の報告。 Chen Q氏らは、SREB2の海馬における働きと認知機能への影響を調べるため、SREB2を過剰発現させたトランスジェニックマウスと、ノックアウトマウスを用いて実験を行った。認知反応と成体神経新生変化との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・トランスジェニックマウスでは、海馬の歯状回における新規細胞増殖および新規神経細胞生存のいずれもが抑制されていた。一方ノックアウトマウスでは、新規神経細胞生存の増大が起きていた。 ・トランスジェニックマウスでは、新生神経の樹状形態学的欠損が認められた(doublecortin染色)。 ・トランスジェニックマウスでは、分布分離作業の実験で空間認知関連能力の低下が認められた。ノックアウトマウスでは、この作業能力の増強が認められた。 ・Y迷路作業記憶の実験でも、両マウスは相反する結果が認められた。 ・SREB2機能を抑制することは、海馬の成体神経発生を強化し、精神疾患患者の中核症状を改善するための認知能力に対する斬新なアプローチとなる可能性がある。 関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・統合失調症の病態にメラトニンが関与?! ・検証!日本人統合失調症患者の脂質プロファイル (ケアネット) 原著論文はこちら Chen Q et al. Eur J Neurosci. 2012 Sep;36(5):2597-608. Epub 2012 Jun 15. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 手術低~中等度リスク重症大動脈弁狭窄症、TAVI vs.SAVRの1年成績/NEJM(2024/04/26) 狭小弁輪を伴う大動脈弁狭窄症へのTAVR、自己拡張型弁vs.バルーン拡張型弁/NEJM(2024/04/26) 若年乳がんサバイバーにおける2次原発性乳がんのリスク因子/JAMA Oncol(2024/04/26) アレクチニブによるALK陽性肺がん術後補助療法をFDAが承認/中外(2024/04/26) うつ病の第2選択治療、機械学習で最適化できるか(2024/04/26) テレビや動画の視聴時間の長さは夜間頻尿リスクに関連(2024/04/26) ChatGPTは医師の10倍の速さで事務作業をこなす(2024/04/26) 1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響(2024/04/26)