メチルフェニデート使用で“喫煙”が加速

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/08/06

 

 注意欠陥多動性障害(ADHD)患者は一般人と比較して喫煙率が高く、低年齢から喫煙を開始しており、禁煙が困難な場合が多い。そして、メチルフェニデートを使用することで喫煙の増加が短期的にみられることも、実験データから明らかになっている。しかし、長期的な影響に関してはまだわかっていない。Bron氏らは、メチルフェニデートにナイーブなADHD患者に対するメチルフェニデートの使用が、喫煙に与える短・長期的な影響、およびニコチンへの欲求に与える影響に関して調査を行った。Eur Neuropsychopharmacol誌オンライン版2012年7月17日号の報告。

 対象はメチルフェニデートにナイーブなADHD患者325例。対象患者はベースライン時、メチルフェニデートによる治療開始後2週間目、3ヵ月目に喫煙に関する質問票(SQ)を記入した。SQの質問項目には、人口統計学的な属性データ、たばこの消費、ニコチンへの欲求、生活でのイベント、精神科診断、薬の使用が含まれていた。

主な結果は以下のとおり。

・ADHD患者におけるベースライン時の喫煙率は一般人の2倍であった(50.2% vs 25.6%、p<0.001)。
・メチルフェニデートによる治療後3ヵ月目、たばこ消費量は1.3本/日、増加していた。
・たばこ消費量はパックで換算すると、約23パック/年、増加した。
メチルフェニデートによる治療後のニコチンへの欲求は2週間目で20.3%、3ヵ月目で29.2%増加した。
・たばこ消費量が1~12本/日とそれほど多くなかったADHD患者では、たばこ消費量の増加リスクがとくに高かった(p<0.05)。
・メチルフェニデートの治療により、たばこ消費量の増加やニコチンへの欲求は急激に上昇し、治療3ヵ月後に、増加した状態のまま維持された。

関連医療ニュース
 ・新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療
 ・学習障害の有無によるメチルフェニデートの有用性を検証ク
 ・太る!境界性人格障害「MetS有病率2倍」

(ケアネット 鷹野 敦夫)