CV高リスク・高LDL-C血症の日本人高齢者に対するLDL-C低下療法の有用性は?:EWTOPIA/AHA

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 高齢の高コレステロール血症例を対象としたコレステロール低下療法のランダム化試験としては、“PROSPER”がよく知られている(Shepherd J, et al. Lancet. 2002;360:1623-1630.)。しかし同試験には多くの心血管系(CV)2次予防例が含まれており、さらに「82歳」という年齢上限も設けられていた。
 そこで、わが国の高LDLコレステロール(LDL-C)血症を呈するCV1次予防高齢者を対象に、LDL-C低下療法の有用性が検討された。ランダム化試験“EWTOPIA75”である。その結果、エゼチミブを用いたLDL-C低下療法で、食事指導のみの対照群に比べ、「脳・心イベント」リスクは相対的に34%有意に低下した。米国・シカゴにて開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の11月10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、大内 尉義氏(虎の門病院 院長)が報告した。

わが国のCV高リスク「LDL-C≧140mg/dL」高齢者を、「食事指導」と「食事指導+エゼチミブ」にランダム化
 EWTOPIA75試験の対象は、75歳以上、冠動脈疾患の既往はないもののCVリスク因子は有し、スタチンを含む脂質低下薬非服用下で「LDL-C≧140mg/dL」だった3,796例である。

 平均年齢は81歳、女性が74%を占めた。LDL-C平均値は約160mg/dL。90%近くが高血圧、約25%が糖尿病を合併し、15%強がメタボリックシンドロームを呈していた。

 これら3,796例は食事指導のみを行う「対照」群(1,898例)と、食事指導に加えエゼチミブ10mg/日を服用する「エゼチミブ」群(1,898例)にランダム化され、イベント判定者にのみ割付群が遮蔽されるPROBE法で追跡された。また原則として、エゼチミブ以外の脂質低下薬は使用しないこととされた。

「脳・心イベント」が相対的に34%の有意減少
 5年間の観察期間終了時、LDL-C値は、エゼチミブ群で120.1mg/L、対照群でも131.4mgまで低下した。

 その結果、1次評価項目である「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術、脳卒中」のハザード比(HR)は、エゼチミブ群で0.66(95%信頼区間[CI]:0.50~0.86)と、有意に低値となった。

 両群のカプランマイヤー曲線は、試験開始後1年を待たず乖離を始め、5年間の追跡期間中、差はわずかながら広がり続けた。

有意減少は「心イベント」、脳血管障害と総死亡には有意差認めず
 2次評価項目を見ると、エゼチミブ群で有意にリスクが減少していたのは、「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術」から成る「心イベント」である(HR:0.60、95%CI:0.37~0.98)。脳血管障害(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11)と総死亡(HR:1.09、95%CI:0.89~1.34)のリスクに、両群間で有意差はなかった。なお、本試験はPROBE法であり、盲検化はされていない。

 また、これらのイベント中、最も発生率が高かったのは「総死亡」で約15%、次いで「脳血管障害」の約5%、「心イベント」の発生率はおよそ2~3%だった。

 指定討論者として登壇したJennifer Robinson氏(米国・アイオワ大学)は、本試験における「LDL-C低下幅に対するイベント減少率」が、これまでのLDL-C低下ランダム化試験に比べ著明に高いと指摘していた。

 本研究は、公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンターから資金提供を受け行われた。

(医学レポーター/J-CLEAR会員 宇津 貴史(Takashi Utsu))

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