ヘパリン介入のチャンスのある重症化前の新型コロナウイルス感染(解説:後藤 信哉 氏)-1426

提供元:臨床研究適正評価教育機構

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公開日:2021/08/18

本記事のコメンテーター

後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事

 一般に、疾病は早期介入が重要である。新型コロナウイルスの場合、ウイルス感染という比較的単純な原因が炎症、肺炎などを惹起する。血管内皮細胞へのウイルス浸潤から始まる血栓症も初期の原因は比較的単純である。ウイルス感染に対して生体が反応し、免疫系が寄与する病態は複雑になる。複雑な病態は単純な治療では脱却できない。重症例を確実に入院させるとともに、早期の症例に対する医療介入の意味を示したのが本論文である。重症化していない新型コロナウイルス感染の症例を予防量と治療量のヘパリン群にランダムに分けて予後を検証した。重症化する前に治療量のヘパリンを投与すると、生存退院の可能性が増えることが示された。この論文は重症化前から新型コロナウイルス感染症患者を入院させ、各種の補助治療とともに治療量のヘパリンを投与する価値を示している。2,219例のランダム化比較試験の結果である。重症例と重症化前の症例の差異のメカニズムは不明である。臨床家としてはこのランダム化比較試験の結果は即座に実臨床に取り込むと思う。

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