選択的グルココルチコイド受容体拮抗薬はプラチナ抵抗性卵巣がんに有効も、日本ではレジメン整備に課題(解説:前田裕斗氏)
グルココルチコイド受容体(GR)活性化は、化学療法抵抗性を誘導する。本研究はGR選択的拮抗薬であるrelacorilantとnab-パクリタキセルの治療効果をnab-パクリタキセル単独と比較した初のPhase3試験である。無増悪生存期間(Progression-free survival:PFS)が規定の評価基準を満たした(6.54ヵ月vs.5.52ヵ月)ため、全生存期間の最終解析を待たずに論文化となった。プラチナ抵抗性の卵巣がんは予後不良で知られており、今回新たな機序で効果的な化学療法が登場したことは臨床的に価値がある。日本ではnab-パクリタキセルは卵巣がん適応外である。薬理学上は当然パクリタキセルとの併用でもいいわけだが、前処置でも用いるステロイド製剤の効果を減弱してしまうため、そう簡単にはいかないだろう。relacorilant自体は経口で化学療法3日前より連日の内服になるため使用は簡便だが、これを活かしたレジメンの整備が日本における課題となる。