脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:63

アルツハイマー病やMCIでみられる味覚障害の調査

 アルツハイマー病(AD)患者では、味覚障害が認められることがあるが、このことについてはあまり研究されていない。鳥取大学の河月 稔氏らは、ADもしくは軽度認知障害(MCI)を有する患者と認知症でない対照(NDC)群における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。BMC Neurology誌2020年3月26日号の報告。  対象は、AD群29例、MCI群43例、NDC群14例。病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。

血圧変動と認知症リスク~コホート研究

 血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。  韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。

虚血性脳卒中の血栓除去術前のtenecteplase、至適用量は/JAMA

 脳主幹動脈閉塞を有する虚血性脳卒中患者では、tenecteplaseの0.40mg/kg投与は0.25mg/kgと比較して、血管内血栓除去術施行前の脳血管再灌流の達成を改善しないことが、オーストラリア・メルボルン大学のBruce C.V. Campbell氏らの検討「EXTEND-IA TNK Part 2試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年4月7日号に掲載された。EXTEND-IA TNK試験では、tenecteplase 0.25mg/kgによる静脈内血栓溶解療法は、アルテプラーゼに比べ血管内血栓除去術施行前の脳血管再灌流および臨床アウトカムの改善効果が優れると報告されている。一方、tenecteplaseの最も規模の大きい臨床試験「NOR-TEST試験」では、0.40mg/kgはアルテプラーゼに比べ安全性および有効性が優れないことが示され、ガイドラインによって推奨用量が異なる事態が生じているという。

アルツハイマー病とレビー小体型認知症の入院リスク

 認知症患者の入院リスクは高いことが知られているが、このことに認知症の種類による違いがあるのかは、あまりわかっていない。ノルウェー・スタヴァンゲル大学病院のRagnhild Oesterhus氏らは、アルツハイマー病(AD)患者とレビー小体型認知症(LBD)患者で入院に違いがあるのかを調査し、その入院率について年齢をマッチさせた一般集団との比較を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年3月5日号の報告。  対象は、軽度のAD(110例)またはLBD(91例)と最近診断された外来診療所受診患者(年齢:75.7±7.4歳)。対象患者には、診断後5年間または死亡までフォローアップが行われた。

血栓回収療法前の再灌流に対するtenecteplase増量の効果(解説:中川原譲二氏)-1214

EXTEND-IA TNK試験において、tenecteplase 0.25mg/kgによる血栓溶解療法は、アルテプラーゼと比較し、脳梗塞患者に対する血栓除去術施行前の再灌流を改善することが示された。これを受けて、EXTEND-IA TNK Part 2試験は、tenecteplase 0.40mg/kgが、0.25mg/kgと比較して、血栓除去術施行前の脳再灌流を改善するかどうか確定することを目的に行われた。本試験は、オーストラリアとニュージーランドの27施設で、2017年12月~2019年7月の期間に登録された患者に対し非盲検下で治療を行い、画像診断および臨床転帰の評価は盲検下で実施した無作為化臨床試験である。対象は、標準的な静脈血栓溶解療法の適格基準である発症後4.5時間未満で内頸動脈/中大脳動脈/脳底動脈の閉塞を有する脳梗塞成人患者300例とした。tenecteplase 0.40mg/kg(最大40mg)群(150例)または0.25mg/kg(最大25mg)群(150例)に無作為化し、それぞれ血管内血栓除去術の前に投与した。

貧血と認知症との関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。  対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。

急性期脳梗塞に対する神経保護薬nerinetideの有効性と安全性/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1212

nerinetideは、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドで、虚血再灌流の前臨床脳梗塞モデルで有効性が確認されている神経保護薬である。この試験では、急性期脳梗塞患者での迅速血管内血栓回収療法(EVT)に随伴する虚血再灌流におけるnerinetideの有効性と安全性を評価する目的で、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(ESCAPE-NA1)が行われた。対象は、年齢18歳以上、脳主幹動脈閉塞後12時間以内の急性期脳梗塞で、無作為割り付け時に機能障害を伴う脳梗塞がみられ、発症前は地域で自立して活動しており、脳卒中早期CTスコア(ASPECTS)が>4点、多相CT血管造影で中等度~良好な側副路充満が示されている患者であった。

反復性片頭痛の予防に鍼治療が有効/BMJ

 前兆のない反復性片頭痛の予防において、マニュアル鍼治療は偽(sham)鍼治療や通常治療に比べ、片頭痛の発現日数や発作回数を抑制することが、中国・華中科技大学のShabei Xu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月26日号に掲載された。片頭痛の予防における鍼治療の有益性に関する臨床的なエビデンスは少ない。最近の臨床試験では、鍼治療は、これを施術しない患者に比べ片頭痛の発現が少ないと報告されている。一方、これまでの鍼治療と偽鍼治療の比較では、わずかな差しか認められていないという。

週5日以上の入浴で脳心血管リスク減少~日本人3万人の前向き調査

 入浴は、血行動態機能を改善することから心血管疾患予防効果があると考えられているが、心血管疾患リスクへの長期的効果を調べた前向き研究はなかった。今回、大阪府立公衆衛生研究所の鵜飼 友彦氏らが中年期の日本人約3万人を追跡調査し、入浴頻度が心血管疾患リスクと逆相関することを報告した。Heart誌オンライン版2020年3月24日号に掲載。  本研究の対象は、心血管疾患またはがんの病歴のない40〜59歳の3万76人で、1990年から2009年まで追跡調査した。参加者を浴槽での入浴の頻度で、0〜2回/週、3〜4回/週、ほぼ毎日の3つに分類した。従来の心血管疾患リスク因子と食事因子を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いて心血管疾患発症のハザード比(HR)を推定した。

高齢者における抗認知症薬処方の決定因子

 フランスでは、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンなどの抗認知症薬は、効果に議論の余地が残り2011年のガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、依然として汎用されている。フランス・パリ・サクレー大学のMathilde Francois氏らは、抗認知症薬処方の決定因子について、評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2020年2月17日号の報告。  本研究は、2013年に横断的研究として実施した。対象は、フランスの国民健康保険データベースより特定した65歳以上の認知症患者。年齢、併存疾患、ヘルスケアの利用との相関を予測するため、潜在クラス分析により、まずは患者の健康状態を特定した。