脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

認知症患者におけるCOVID-19の影響

 認知症患者において、COVID-19による死亡リスクへの影響は不明である。イタリア・Istituto Clinico S.Anna HospitalのAngelo Bianchetti氏らは、COVID-19で入院した患者における認知症の有病率、臨床症状、その後のアウトカムについて評価を行った。The Journal of Nutrition, Health & Aging誌オンライン版2020年5月15日号の報告。  北イタリア・ブレシア県にある急性期病院のCOVID-19病棟にCOVID-19肺炎で入院した627例を対象に、認知症の診断、COVID-19の発症様式、病院での症状やアウトカムなどの診療記録をレトロスペクティブに分析した。

急性脳梗塞へのt-PA治療、door-to-needle timeが短いほど転帰良好/JAMA

 65歳以上の急性虚血性脳卒中の患者に対するt-PA治療について、来院から治療開始までの時間「door-to-needle time」が短いほど、1年後の全死因死亡および全再入院の割合は低いことが明らかにされた。米国・クリーブランドクリニックのShumei Man氏らが、6万例超を対象とした後ろ向きコホート試験の結果を報告した。著者は、「今回の結果は、血栓溶解療法はできるだけ早く開始すべきことを支持するものであった」とまとめている。先行研究で急性虚血性脳卒中の患者に対するt-PA治療の早期開始は、退院までの死亡率を低下し、3ヵ月時点の機能的アウトカムが良好であることを示していたが、治療開始までの時間短縮がより良好な長期的アウトカムにつながるかについては明らかになっていなかった。JAMA誌2020年6月2日号掲載の報告。  研究グループは2006年1月1日~2016年12月31日にかけて、米国で行われている心疾患治療標準化のためのレジストリ「Get With The Guidelines-Stroke(GWTG-脳卒中)」プログラムに参加する病院で、急性虚血性脳卒中を発症しt-PA静脈投与を受けた65歳以上のメディケア受給者を対象に、後ろ向きコホート試験を行った。被験者は、体調が悪化してから4.5時間以内にt-PA静脈投与を受けた患者に限定した。

テーマ、デザインともに価値を見いだせない(解説:野間重孝氏)-1233

この研究デザインについてはpre-studyとも言える論文で説明されているというのであるが、元論文に当たってみても著者らが言うような明確と言えるほどの説明はなされていない。この種の評論を書くと意地悪ジイさん扱いされてしまいそうであることを覚悟して書き込ませていただくと、最近の論文は研究デザインとその意味付けといった最も重要な部分や統計処理などを○○参照とかappendix参照などで済ませているケースが目立つ。それでその○○なりappendixに当たってみると―予想通りというか―説明不足であったり、非常にわかりづらかったりするのである。

東京都在住高齢者の認知症の特徴

 認知症の早期診断を促進するために、一連の政策が実施されているものの、多くの高齢者において認知症は見逃されている可能性がある。東京都健康長寿医療センター研究所の宇良 千秋氏らは、東京都内に在住の高齢者を対象に、未検出の認知症の特徴について調査を行った。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2020年4月15日号の報告。  本研究では、3段階の調査を実施した。第1段階として、東京都内某所に在住する70歳以上の高齢者7,614人に対しアンケートを郵送し、5,430人分を回収した。第2段階として、2,020人にミニメンタルステート検査(MMSE)を含む対面調査を実施した。第3段階として、MMSEスコア24未満の高齢者335人中198人を往診した。認知症診断、臨床的な認知症の評価および社会的支援の必要性は、学術チームにより自宅で評価した。心理学的、社会学的、社会人口統計学的変数の評価も行った。

アテローム性動脈硬化症の2次予防、P2Y12阻害薬単独療法は?/Lancet

 脳血管障害、冠動脈・末梢動脈疾患などアテローム性動脈硬化症の2次予防において、P2Y12阻害薬の単独療法はアスピリン単独療法と比べて、心筋梗塞リスクを2割近く低減し、脳卒中リスクは同等であることが示された。イタリア・Humanitas UniversityのMauro Chiarito氏らが、これまでに発表された無作為化比較試験を対象にシステマティック・レビューと、被験者総数約4万2,000例についてメタ解析を行った結果を報告した。しかし、著者は、「心筋梗塞の予防に必要な治療数(NNT)が高値であること、全死因死亡や血管死への効果がみられないことから、P2Y12阻害薬の単独療法の臨床的妥当性には議論の余地がある」と述べている。Lancet誌2020年5月9日号掲載の報告。

脳内大血管閉塞に対するtenecteplaseの至適用量は?(解説:内山真一郎氏)-1227

tenecteplaseはアルテプラーゼから遺伝子改変により作成された血栓溶解薬であり、アルテプラーゼより半減期が長く、フィブリン特異性も高い。海外のガイドラインではアルテプラーゼの代用薬として記載されているが、日本では開発も承認もされていない。オリジナルのEXTEND-IA TNK試験では、0.25mg/kgのtenecteplaseはアルテプラーゼと比べて再灌流と臨床転帰が優れていたという結果が示されている。そこで、このPart 2試験では、脳内大血管閉塞例において血栓回収療法前に投与された0.40mg/kgのtenecteplaseが0.25mg/kgのtenecteplaseより優れているかどうかをPROBE試験により検討したが、0.40mg/kgが0.25mg/kgより有効であるという結果は示されなかったので、tenecteplaseの至適用量は0.25mg/kgであるというのが本試験の結論である。

クロピドグレル、70歳以上の非ST上昇ACS患者に有用/Lancet

 70歳以上の非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)高齢患者において、クロピドグレルはチカグレロル/プラスグレルに比べ、全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中・出血の複合エンドポイントを増加することなく出血リスクを減少させることが認められ、チカグレロルの代替としてクロピドグレルが好ましいことが示された。オランダ・St Antonius HospitalのMarieke Gimbel氏らが、非盲検無作為化比較試験「POPular AGE試験」の結果を報告した。最近のガイドラインでは、ACS後の患者に、チカグレロルまたはプラスグレルを用いた強力な抗血小板療法が推奨されているが、高齢患者における最適な抗血小板療法に関するデータは乏しかった。著者は、「とくに出血リスクが高い高齢患者では、クロピドグレルがP2Y12阻害薬の代替となるだろう」とまとめている。Lancet誌2020年4月25日号掲載の報告。

脳内大血管閉塞に対する血栓回収療法に血栓溶解療法の併用は不要か?(解説:内山真一郎氏)-1226

脳内大血管閉塞による急性虚血性脳卒中に血栓回収療法前のアルテプラーゼ静注療法が有用であるかどうかは確かではなく、大血管閉塞例に関してはアルテプラーゼ静注の併用なしに直接血栓回収療法を行ってもいいのではないかとの意見が以前から存在した。中国で行われた本試験では、血栓回収療法のみでもアルテプラーゼ後の血栓回収療法と比べて90日後の転帰が劣っていなかったという結果が示された。本年ロサンゼルスで開催されたInternational Stroke Conferenceにおいて日本医大脳神経内科からの同様なデザインで行われたSKIP研究の結果が発表されたが、血栓回収単独療法のアルテプラーゼ併用療法に対する非劣性は本試験より症例数が少なかったためか証明されなかったものの、出血リスクは血栓回収療法単独のほうが有意に少なかった。

血管内血栓摘出術前のrt-PA静注、有益かリスクか/NEJM

 大血管閉塞による急性虚血性脳卒中を呈した中国人の患者において、血管内血栓摘出術の単独施行は、症状の発症4.5時間以内にアルテプラーゼ静脈内投与を行ったうえでの血管内血栓摘出術施行と比べて、機能的アウトカムに関して非劣性であることが示された。中国・Naval Medical University Changhai HospitalのPengfei Yang氏らが、同国内41の大学関連医療施設で行った無作為化試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中において、血管内血栓摘出術の前にアルテプラーゼ静脈内投与を行うベネフィットとリスクについては、不確実性があると指摘されている。NEJM誌オンライン版2020年5月6日号掲載の報告。

アルツハイマー病在宅ケア患者に対する抗認知症薬使用と有害事象の調査

 東京大学の今井 博久氏らは、抗認知症薬を使用している患者でみられる有害事象について、その種類、発生率、リスク因子を明らかにするため調査を行った。PLOS ONE誌2020年4月6日号の報告。  抗認知症薬を調剤している薬剤師を対象に、アンケート調査を実施した。薬剤師が自宅を訪問し、届けた抗認知症薬を使用している患者に関する設問に回答した。設問内容には、患者の薬剤による副作用経験、患者背景、最初に訪問した際に患者が服薬していた薬剤数、薬剤師による抗認知症薬使用の妥当性の評価が含まれた。