脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

老年精神薬理学の最近の進展に関する専門家の意見

 高齢化社会が進むにつれ、老年精神疾患への対応に関する重要性が高まっている。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学のAwais Aftab氏らは、アルツハイマー病(AD)、重度または難治性のうつ病、がんおよび終末期ケアに焦点を当て、老年精神医学に関連する最近の進展についてレビューを行った。Expert Review of Clinical Pharmacology誌オンライン版2021年2月5日号の報告。  ADの疾患修飾療法、診断用放射線トレーサ、認知症の神経精神症状に対する薬剤、ケタミン、esketamine、サイケデリックス薬、カンナビノイドについて、PubMed、Google Scholar、Medscape、ClinicalTrials.govより過去6年間の文献を非システマティックに検索し、レビューを行った。

片頭痛予防に対するガルカネズマブの即効性や持続性

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化モノクローナル抗体であるガルカネズマブ(GMB)は、成人の片頭痛予防に承認されている薬剤である。皮下注射として、月1回自己投与を行う注射製剤である。米国・イーライリリー・アンド・カンパニーのDulanji K. Kuruppu氏らは、反復性および慢性片頭痛患者におけるGMBの効果と時間経過との関係を報告した。Advances in Therapy誌オンライン版2021年2月5日号の報告。  3つの二重盲検プラセボ対照第III相試験のデータを分析した。反復性片頭痛患者1,773例および慢性片頭痛患者1,113例は、プラセボ群、GMB 120mg群(初回240mg、以後120mg/月)、GMB 240mg群に、2:1:1の割合でランダムに割り付けられた(2016年1月~2017年3月)。効果発現は、GMBがプラセボに対し統計学的に有意な差が認められ、その後維持できた最も早い時点に基づく逐次解析アプローチを用いて決定した。効果の維持は、GMBとプラセボで治療された患者において、個々の患者レベルで50%以上の反応を維持した割合を比較し決定した。治療の中止は、毎月の片頭痛日数のベースラインからの変化に基づき、治療期間後4ヵ月間で決定した。

降圧薬の有害事象メタ解析、急性腎障害や失神が関連か/BMJ

 降圧薬による高血圧治療は、転倒との関連はないものの、軽度の有害事象として高カリウム血症および低血圧と関連し、重度の有害事象として急性腎障害および失神との関連が認められることが、英国・オックスフォード大学のAli Albasri氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2021年2月10日号に掲載された。降圧治療の有効性を評価した無作為化対照比較試験のメタ解析は多いが、潜在的な有害性を検討したメタ解析はほとんどない。また、既存のメタ解析は、降圧治療とすべての有害事象の関連に重点を置き、特定の有害事象との関連は明らかにされていないという。

認知症介護者の人道的負担~日本の大規模横断研究

 急速な高齢化社会へ進む日本では、認知症やアルツハイマー病の有病率の増加に伴い、介護者の必要性が高まっている。岐阜薬科大学の大野 慎也氏らは、日本での認知症やアルツハイマー病の介護者における人道的負担について、それ以外の介護者との比較を行った。Journal of Medical Economics誌2021年号の報告。  日本の健康調査National Health and Wellness Survey(NHWS)の2018年のデータを用いて、横断的研究を行った。対象は、認知症やアルツハイマー病の介護者805人、それ以外の介護者1,099人、非介護者2万7,137人。アウトカムの指標は、健康関連QOL尺度(HRQoL)であるSF-12、健康状態を評価するEQ-5D、健康が生産性や活動に及ぼす影響、うつ病と不安症の評価とした。群間比較を行うため、潜在的な交絡因子で調整した後、多変量解析を用いた。

移動式脳卒中ユニット、3ヵ月後の全般的障害を改善/JAMA

 急性期虚血性脳卒中患者の救急搬送では、移動式脳卒中ユニット(MSU)の出動は従来の救急車と比較して、修正Rankinスケール(mRS)で評価した3ヵ月後の全般的障害の状態が有意に良好であることが、ドイツ・シャリテ大学病院ベルリンのMartin Ebinger氏らが実施したB_PROUD試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年2月2日号に掲載された。急性期虚血性脳卒中における血栓溶解療法の効果は時間依存的であることが知られている。MSUは、CTスキャナーを装備し、病院到着前に血栓溶解療法が行えるよう設計された救急車であり、治療開始までの時間を短縮し、血栓溶解療法の施行率を増加させ、入院前のトリアージを改善すると報告されているが、脳卒中発症後の機能的アウトカムに及ぼすMSUの潜在的な効果は明らかではないという。

妊娠および授乳中の女性に対する抗CGRPモノクローナル抗体の安全性プロファイル

 妊娠および授乳中の女性に対する抗CGRPモノクローナル抗体(erenumab、ガルカネズマブ、fremanezumab)の安全性プロファイルについて、スイス・Institute of Pharmacological Sciences of Southern SwitzerlandのRoberta Noseda氏らが、評価を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年1月12日号の報告。  個別症例の安全性報告を集積したWHOのグローバルデータベースであるVigiBaseより2019年12月31日時点のデータを収集した。  主な結果は以下のとおり。

日本人高齢者における新たな認知症診断予測因子~コホート研究

 高齢者の認知症を予防することは、公衆衛生上の重要な課題である。認知症の予測因子を早期に発見し、是正することは重要であるが、定期的に収集された医療データに基づく認知症の予測因子は、すべて明らかになっているわけではない。京都大学の中奥 由里子氏らは、定期的に収集したレセプトデータを用いて、認知症診断の潜在的な予測因子を調査した。International Journal of Environmental Research and Public Health誌2021年1月13日号の報告。

日本人高齢者の認知症リスクと中年期以降の長期的な体重変化~大崎コホート2006

 高齢になるにつれ、体重減少や認知機能障害の頻度が高まるが、日本人高齢者の認知症発症リスクに体重変化が関連しているかは不明である。東北大学の陸 兪凱氏らは、中年期以降の長期的な体重変化と認知症発症リスクとの関連を調査するため、日本人高齢者のコミュニティーベースコホート研究を実施した。Journal of Epidemiology誌オンライン版2020年12月26日号の報告。  2006年に65歳以上の障害のない日本人高齢者を対象としたコホート研究を実施した。対象者は、1994年と2006年に自己報告式質問票を用いて体重データを収集し、体重変化に基づき次のように分類した。安定体重(-1.4~+1.4kg)、体重増加(≧+1.5kg)、体重減少1(-2.4~-1.5kg)、体重減少2(-3.4~-2.5kg)、体重減少3(-4.4~-3.5kg)、体重減少4(-5.4~-4.5kg)、体重減少5(≦-5.5kg)。認知症発症は、公的な介護保険データベースより収集した。対象者のフォローアップ期間は、2007年4月~2012年11月の5.7年間であった。認知症発症に関連する多変量調整ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、Cox比例ハザードモデルを用いた。

片頭痛に対する生物学的製剤のレビュー

 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に効果があるといわれている。CGRPモノクローナル抗体であるeptinezumab、 erenumab、fremanezumab、ガルカネズマブは、臨床試験において有効性と良好な安全性および忍容性プロファイルを示している。erenumabは、完全ヒトモノクローナル抗体であるが、他の薬剤はヒト化モノクローナル抗体であり、これらの薬剤は免疫反応を引き起こす可能性がある。米国・テバファーマスーティカルのJoshua M. Cohen氏らは、CGRPモノクローナル抗体と免疫原性との関係、それらの潜在的な臨床的意義についてレビューを行った。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。

一般住民におけるTIA患者の脳卒中長期リスクは依然として非常に高い(解説:内山真一郎氏)-1351

本研究は、フラミンガム研究のコホートを用いて1万4,000例以上を1948年から2017年にわたって追跡したデータを解析した研究である。2000年から2017年におけるTIA患者における発症後90日以内の脳卒中リスクは、1948年から1985年と比べて有意に低下していたが、10年間の脳卒中リスクはTIAを起こしたことのない住民と比べて4倍以上高かった。本研究におけるTIA経験者の脳卒中発症率は高く、平均8.9年間の追跡期間中に30%のTIA患者が脳卒中を発症していた。